いがらむ

港町のいがらむのレビュー・感想・評価

港町(2018年製作の映画)
4.3
牛窓。神秘的な響きを持つ町が主人公の映画で、どこか終焉を感じさせる(白黒?)、もしくはかつてそこにあったのかもしれない人々の営みを執拗に追いかける。その執拗さが肉体的で涙ぐましいのだ。老人と海の静かで力強い対話。漁師が夜な夜な釣った魚の行方を追いかけると港町の住民の抱腹絶倒の営みがあった。限定的な環境で生きる彼らの言葉はすべて魅力的で、無骨なだけじゃなく、野良猫に魚のアラを振る舞う老人女性とその息子(瓜二つ!)のえもいわれぬ上品な発言の反復に不意に心を奪われてしまった。そうかこれは言葉の映画なんだ。そしてその言葉がある人物にとっての真実に触れた瞬間を、観る人間は永遠に忘れることはない。静かななみのおととともに。
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