マーフィー

とんかつDJアゲ太郎のマーフィーのネタバレレビュー・内容・結末

とんかつDJアゲ太郎(2020年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

キャストに色んなことがあって、変に注目を浴びてしまった作品。
原作漫画を連載時から読んでいて、アニメはなんとなく流し見してました。
映画化は嬉しかったので楽しみにしてました。

キャストの再現度はすごいなと思う。
アゲ太郎、苑子、屋敷、OILYと...どんどん原作そっくりな人が出てくる。

そんなキャストの再現度に対して、内容は...。
分厚いのはとんかつだけで、
あとは薄っぺらかったです。

肝心のDJの説明が少なすぎるし、
DJ KOOの酷すぎる教則ビデオはまさに「何してるかわかんないけど盛り上げようと後ろで騒いでるバックDJ」のステレオタイプそのものだし、
その教則ビデオがフェイクだと否定する割には
じゃあDJって何なのかっていう説明があまりにもなさ過ぎて
結局DJが「空気読んで音楽かけてフロアを盛り上げる」程度の知識しか入らない。
いや大雑把に言えばそうなんだけどさ...繋ぎの凄さとかあるやん...。
作品中で普通にみんなやってんのにその辺のこと触れもしないから観てる人にはさらっと流されてるよきっと...。

DJ OILYは見た目もバッチリで藤原啓治が何回も頭にチラついたぐらいだったのに、
ラード大好きっていう超強烈な個性が全く無視されてるし、
それがないからアゲ太郎の師匠を買って出る理由がもはやダメ人間でしかない。
一瞬だけサラダ油ガブ飲みするシーンあるけど、
とんかつ好きの行儀悪いおっさんで話進んでたから
いきなりそんなんしてんのただの狂人でしかないよ?

一番よく分からなかったのは中盤の流れ。
「DJはそんなに甘くない」的なことを言って
大きな舞台にアゲ太郎を無理やりブッキングしてDJの厳しさを教えるとこまではいいよ?
それで自分の立場まで無くしてDJささてもらえなくなるとか、
結局何がしたいの?
それでアゲ太郎が周りから「OILYはそれだけお前に期待してたってことだよ」って言われて本当に謎だった。
アゲ太郎が本気になってるのを見て何かを感じてブッキングしたんだろうけど、
それでも結局現場に立ったことないアゲ太郎が
「甘くない」世界に(OILYがはじめ言った通りに)飲まれてしまったんだから、
それってOILYの当初の予想通りやないの?
「甘くない」的なこと言ってたくせに
OILY自身が本気になってるアゲ太郎を見て勘違いしたの?
ちょっとその辺が振り返ってみて分からない。

「フロアにいる誰を踊らせたい?」的な修行の
苑子までたどり着くまでの小ボケが本当にいらない。
観てる人全員一致で苑子が真っ先に浮かぶのに謎の遠回りいらない。

クライマックスの屋敷と2人でプレイするシーン。
もはやMPC演奏者になってて草。
いや別に問題ないんだけど、
知らない人からしたら今までターンテーブルで色々やってた主人公がいきなりボタンたくさんある機械叩き始めて何?ってなるやろ。
音を取り込んで再生できる機材があるっていう説明もないし
DJの説明が薄いから結局そういうとこも置いてきぼりになる。

大衆エンタメに消化しようとした結果、中途半端でどこにも刺さらない何かができてしまった感が否めない。
キャストは似てる以上にみんな演技の素晴らしい人ばかりだったのに、
脚本がすごく残念。
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