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ザ・リトル・ストレンジャーのTのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

割りと分かりやすかった。
ファラデー医師が犯人なら、どうやってやったのか?と疑問に思う人がいるようだが、生身の人間では無理でしょう。犯人は少年時代のファラデーの生霊。

・屋敷が繁栄していた頃、貴族の娘スーザンは何故死んだのか?
→元使用人の母親の関係で、屋敷の第一次大戦戦勝記念パーティーに出掛けた幼い日のファラデー医師。屋敷の裕福な娘・スーザンに無意識に憧れ・恋心を抱くが、屋敷の庭で男の子と楽しそうに歩いて行くのを見かけ、身分差を思い知らされる。ファラデー少年の中で何かがざわつく。

ファラデー少年は、母親が元使用人なので台所に入れてもらい、メイドたちからチヤホヤされる。
今日は借り物だけど「よそゆき」を着ていることもあり、何だか上流階級の「仲間入り」した気分になる。
「この屋敷で暮らしたい」という思いを強めるファラデー少年。思わず屋敷の飾りを壊したところをスーザン嬢に見つかってしまう。

ファラデーの母親は、屋敷の物を壊した息子の頬をぶつ。
スーザン嬢が見ている前でぶつという「屈辱」を与えた母親に強い負の感情を抱く。そしてスーザン嬢との惨めな「身分格差」を思い知らされる。

自分を受け入れないスーザン、惨めな階級の母親・両親・・

屋敷のパーティーで貴族の女の子が犬に噛まれたのは、
女の子の両親が悪気は無かったが、今では立派な医師である主人公を屋敷の元使用人の息子・平民として用事を言いつけたから。
「貴族と同じように尊敬される立場になった」と思っていたのに、実際は貴族とそうでないものとの間には残酷な線引きが存在した。どこまでも相いれない。
現に、パーティーに招かれた立場なのに、自分だけ座る席も無い。
ファラデー医師は無意識の部分でプライドを傷つけられていた。

屋敷の少女メイドは何故殺されなかったか?
⇒主人公にとって害が無かったから。むしろ彼女がいたほうがキャロラインが屋敷に留まろうとするから。二人の結婚に賛成していたし。

屋敷の女主人(シャーロット・ランブリング)は何故殺された?
⇒娘(キャロライン)を連れて屋敷を出て欲しいと言ったから。
ファラデー医師の生霊はこの屋敷で暮らしたいから。

屋敷・上流階級への憧れと、それを邪魔する者に対する負の感情が同時に芽生えたあの幼き日のパーティー。その日以来、ファラデー少年の生霊が屋敷に住みつく。

それまではメイドも沢山いて栄えていたのに、これが名家の没落の始まりだった。

スーザンにキャロライン、自分を受け入れてくれない。拒絶されると自分を否定されたようで傷つく主人公。愛は憎しみに・・
益々屋敷に執着していく。
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