『キャビン』のドリュー・ゴダートが初めて製作/脚本/監督の三役をこなした彼にとって勝負の一本である……はずなのだが。
それなりに名前の売れてる監督の作品で、音楽はアカデミー賞も取ったマイケル・ジアッチーノが担当、ジェフ・ブリッジズやクリス・ヘムズワースらハリウッド一線級の俳優も多数出演しているのにも拘らずなぜ日本未公開なんだ?と観る前は思っていたが、鑑賞して納得、これはソフトスルーにもなる。
宇多丸さんの言うところの「興味の持続」に映画全体が奉仕しすぎていて、決して退屈はしないが起伏なく淡々と2時間半の上映時間が過ぎて行く。時間軸シャッフルも特に斬新さはなく、スタイリッシュというよりは「分かりやすさ」を担保する為のもので、やたらと視聴者に優しい作りだな…と思いながら観ていた(TVシリーズ出身である点となにか関係あるのかもしれない)。
『キャビン』のように最後の一瞬でとんでもない展開を入れてくるかと思いきやそんなこともなく、結構な長尺に見合わない消化不良感とともに映画はエンドロールに突入する。
監督作としてはまだ2作目なので作家性云々はできないが、ミラー越しに客室の様子を「見られていた」ことが判明する展開は、同監督の過去作『キャビン』の展開をモロに思い出したりもした。
本来なら2.5点くらいだけど小見川千明の吹き替えが可愛かったので加点。