Mami

スウィート・ヘルのMamiのネタバレレビュー・内容・結末

スウィート・ヘル(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

完全にジョン・バーンサル目当てで観た。命を吹き込むという言い回しがあるが、この人の場合同時に憎めなさも吹き込んでいるのだと思う。この人が演じる役はいつもリアルで、よっぽど悪いやつでない限りなんだか好きになってしまう。そしていつもながら素晴らしいそのジョン・バーンサルの相手役、クリストファー・アボットがまたすごい。全然知らない人だったがすごい。言い表しようのない底知れなさ不気味さをたたえた男を恐ろしく演じている。
正直言って最後の対決に至るまでのテンションの高め方は素晴らしいと思ったものの、どうもエンディングがよくわからなかった。あの人があの人を撃つのはわかる。だがその後彼が晴れ晴れとしているのがわからない。その後挿入されるロデオシーンが転倒から助け起こされるところなのは殺人によってどん底に落ちた後で救済されたということを象徴しているのかもしれないが救済は描かれていないからだ。あるいはこれは男らしさについての映画なのかもしれない。部屋にバーベルが置いてあることからもあの体格からもサムが身体を鍛え続けていることは明らかである。だが彼は特に体格がいいわけでもないモーテルの迷惑な客にも負けてしまう。ロデオ時代に得た障害のせいだ。そして男らしさを奪われたように感じる。それを取り戻すための行いが殺人であり、だから最後のシーンの彼が幸せそうなのだと解釈した方がしっくりくる。だとしたらずいぶんダークな映画だ。
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