COZY922

千と千尋の神隠しのCOZY922のレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.5
あらためて言うまでもない、エンターテイメント性にあふれた完成度の高い、ジブリの代表作。

独特の不可思議な世界観や 奇想天外なキャラクターもさることながら 1人では何もできなかった千尋が強くたくましく成長していく成長物語としても素晴らしく、とても好きです。

その独特な世界観ばかりに目を奪われがちだけれど、"もう元に戻れないのだろうか " という思いからの絶望感孤独感、おにぎりを食べて込み上げたごく普通の日常の恋しさ、励まされ強い気持ちでなんとか生きて行こうとする姿など、異次元の世界の中に 日常誰もが感じるような様々な感情が違和感なく織り込まれていると思います。

この映画の舞台のモデルになったと言われている台湾の九份に行ったことがありますが、階段や赤い提灯、階段沿いのお茶屋などに その趣きがいっぱいで、広いエリアではないけれど行ったり来たりお店をのぞいたりしながら そぞろ歩きをしたくなるところです。

ハク、リン、釜爺、銭婆など ぶっきらぼうに見えて温かい 登場人物も魅力的で、この不思議世界を印象深いものにしています。最後、現実世界に帰った時に描き過ぎず、どれくらいの時間が経過したのだろうと視聴者に思わせる余韻の残る終わり方もいい。ジブリはこの作品を含めてこれよりも前に作られたものの方が圧倒的に好きです。

千と千尋があまりにもヒットしたせいなのか、スタッフの入れ替わりのせいなのか、天才宮崎駿も歳を取ってしまったということなのか わからないけど、千と千尋以降の作品は 今ひとつハマらなくなってしまったのが寂しい。
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