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ホステージXのabdmのレビュー・感想・評価

ホステージX(2017年製作の映画)
4.0
ある男が目覚めた場所は木材で雑に造られた家畜小屋。何故自分はここで目覚めたのか、ここはどこなのか、そして何より自分は一体誰なのか。殴られたであろう額を抑えながらとりあえずこの小屋から出ようと試みるも扉は外から施錠されていて出ることができない。
一体誰が何のために誘拐したのか??という、あ!こういう似た話なんかで観たことあるぞ型サスペンス映画。
主人公自身が記憶喪失の映画っていうのは徐々に主人公自身が気合いで記憶を少しずつ戻すと同時に他者(あるいは物)と触れることで蘇る。そしてラストに知る衝撃の事実!!というお決まりの筋書きとまあ言っちゃえば出オチ感あるどんでん返しが売りだが今作はそんなの二の次である。興味はあるがそこがこの映画の味噌ではない!
まず冒頭、小屋の扉の近くに腕一本通せるぐらいの小さな穴を発見した主人公は扉の真ん前で電話しながら右往左往している一人の誘拐犯らしき男(この時点で誘拐犯が4人いることが分かっている)の足をタイミングよく掴む!(何故掴んだのかは不明だが、恐らく転ばせたかったのだろう。電話の声が耳障りでうるさかったし。)なんと次の瞬間転んだ男はたまたまそこに置いてあった角張ったレンガに額を打ち即気絶!
落ちた男のケツポケットから携帯を取り出しよっしゃぁぁぁと唸る主人公はすぐに警察へ電話する。警察に繋がるもこちらでは対応は無理だと言われ、専門家の電話番号を聞いた主人公はすかさず地面に忘れない内に書き殴る。突然外で叫び声があがりフッと気を取られた瞬間、何故か小屋の中に一匹だけいるヤギが歩いて書き殴った番号が消えてしまった!!ヤベェと思った主人公はまたすぐに同じ警官に電話し先程と同じように地面に書き、また外で叫び声があがり主人公が気を取られる。今度はヤギさんは番号を消さずに端の方で大人しくしていたので専門家に電話をかけることができました!!
この展開いらない。
今作終始こういう現実的にも映画的に見てもどうかと思う展開の連続で観る者を魅了する。役者たちはクソ真面目に演技をしていて演出もそれなりに緊迫感を出しているのでこれが意図的なのかどうかも分からなくなってくる。むしろこれが超現実主義なのかと錯覚してしまうほど。合理的に物事を解釈せずにただただ展開に流されれば良い、感じなさいと言われているような気がしてならない。
まあそんなことは恐らく99%ないにしてもいい塩梅でギャグ(?)をぶち込んでくるので全く飽きずに完走。
スラップスティックコメディが好きな人はかなり好きかも。
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