きりんまん

億男のきりんまんのネタバレレビュー・内容・結末

億男(2018年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

「お金とは何か」そんなことを考えさせられる映画であった。日本円では硬貨とお札があり、それぞれが重さ、金額、重み、そして価値が異なるもので、この映画はまさにその「価値」という部分に焦点を当てたものであった。借金を背負い返済に日々奮闘をする1と吃音症を持つ99、ある日1は億万長者となり、使い道に悩み、そして大学の親友である起業家の99に相談。相談し、その数日後、99に突然お金を持ち逃げされたところからストーリーは始まる。1は99の居場所をひた求め、99を知る長者者たちを当たることに。99を知る長者とは過去に99と共に企業した会社を経営する者たちであり、今は皆バラバラになっている。その長者3人と話す中で、お金の本質、人の変化を知り、また在学中に行った99とのモロッコ旅行の回想を経てストーリーは展開していく。個人的な感想としては、モロッコ旅行の回想がとても印象深かった。モロッコ旅行では、ホテルの場所が分からず現地人に案内されるのだが、案内料としてのチップを断固として99は断った。何が起こるかわからない所では毅然としなければならないことがある、そう言って断っていた。しかし、なぜチップくらいのお金を支払わなかったのかは、その時は分からなかった。次の日骨董市で99は品物を定めている中、1は疲労で倒れてしまう。そして、近くにある骨董を壊し、弁償請求をされるのである。後に99から話されるのだが、その際に35万円程の請求を現地人にされたのであった。しかし、すぐに支払い1を助けることを何よりも優先するのであった。この時に、先程のチップを断固として断っていた理由がわかった。金額としては価値の低いチップ、金額としては価値の高い弁償料これらが対比になっていて、前者はこれから先の見えない海外の旅ではたとえ1円でも価値のあるものとして金額としては低くとも、「その時」の自分たちにとっては、とても価値のあるものであったといえる。そして、後者は金額としては価値の高いものであったが、友達を優先しなければならない「その時」とても価値が低いものであったといえる。つまり、お金よりも1を優先したのである。お金よりも大切なものがある、そんなことを教えられた気がした。
お金は様々な意味で影響力がある。この映画を見て、自分もお金について考えなければならない。そんな気がした。自分のお金周りについて見つめ直す良い映画になった。