満ちる

未来のミライの満ちるのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
3.2
お話を追いかけるというよりは、これまでを振り返る時間をもらうような映画でした。

一口で言えば心象風景。
大人になった今、子供の目線で成長を辿るとどう映るのかという切り口で描き出されている印象を受けました。
興行向けではないけど、こういうのもアリかなあ。
個人的には風立ちぬと似たようなニュアンスに思えましたが、ほかのレビューを観ていると(まだ初日で頭数が少ないこともありますが)それよりかなり辛い…。
ストーリーの有無については正直どうでもいいのでそこらは捨て置いて本作を観ておりましたが、つい細田守というと、ぼくらのウォーゲームやサマーウォーズのようなジュブナイルを求めてしまいがちであるため、私の感想としても若干辛めです。

良かったところは、くんちゃんの描写に忖度がないところ。
周りの都合なんて分からないし、急にやってきた未来ちゃんに両親を独占されてかんしゃくを起こし叩こうとしたり、ハチゲームが面白くっておかわりを要求したり、自転車に乗れるようになったり。
子どもがいる中、育っていく中でのいいとこばかりでなく怒鳴り散らしてしまうところも遠慮なく発揮されているのには好感がもてます。
くんちゃんの寝姿に見えるパーソナリティは、うまいなあと感心してしまいます。

一方残念だったのは、くんちゃんがお庭でタイムトリップするシーン。
ぐるっと回るカメラワークが2回目以降ちょっとくどいように感じました。
カット割りなしでシーンが変わるところだから同じカメラワークなのは場転を暗示してて良いところでもあるのですが、スローテンポで間延びして集中力が切れてしまいました。
そこで切れてしまった集中力を取り戻せず、誰かのアルバムをめくっている目線でエンディングに入ってしまったので、もうすこし入り込みたかった。
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