泣いた。2回。
子どもの自我の目覚めをロードムービー的に描いた作品。個人的には、めちゃくちゃよかった。
それまでは自分が世界の中心で、でも世界の中心であることにすら気づいていない。そこに、自分より後に産まれた妹という新しい存在が出てきて、今まで過ごしていた世界からの変化に気付き始める。
雪や何か(忘れた)を見て「不思議」と言ったのは、ふだん目にしている世界からの小さな変化を感じ取ってる証拠。
一番大きな発見は、時間の概念だろう。現在(いま)しかなかったくんちゃんの世界に、未来や過去という全く新しい概念がやってくる。お母さんが自分と同じくらいだったこと(自分よりやんちゃだったこと笑)や、ゆっこにお母さんがいたこと。お父さんが自転車に乗れなかった時代。
子どもの毎日って、ちょっとした概念が覆されることの繰り返しなんだろうな。自分もそうだったな。と思いながら、自転車のシーンで泣いた。
いろんな概念を覆されながら、ちょっとずつ成長していって、ゆっこ、ひいおじいちゃん、お母さん、お父さん、妹、最後にはちゃんと自分の存在を認識できた。
子どもの成長は切ないっていうけど、その切なさをとても丁寧に描いていたなという感想。
最後の方の、振り返るようにみんなの幼少期を俯瞰して見ているシーンでもう一度泣いた。あそこで色々つながったんだろうな。
ちなみに、文学的には、子どもが妄想したり話せないはずのペットや人形と話す描写は、自我の目覚めとか成長する過程を表していると聞いたことがある。
なので、魔女の宅急便のジジがキキが独り立ちして成長したタイミングで話せなくなったことと同じで、この場合の不思議体験も成長の過程を表してるのだと思った。