すとんこ

人魚の眠る家のすとんこのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
4.0
植物状態となった娘の死を受け入れずにずっと育てる覚悟をした肝っ玉母ちゃんって話☆

プールで溺れて脳死状態になった娘を、医療技術を駆使して延命措置を続け、世間の冷めた視線にも負けずに「この子は生きてます!」っと強靭な意思でもって育て続ける母(=篠原涼子)。
その姿は狂気ともとれるが、子を持つ者ならば理解するのは難しくない。

周囲の人たちも最初は理解しつつ支えるも、電流を流して筋肉を動かすようになると、さすがにドン引き。大仰な操作装置でもって娘を操り、止めに笑顔まで電流で作ることが出来ることを披露、ご満悦な母の姿は正しくホラー。

そんなヤベー精神状態の母を、腫れ物にさわるかのように家族も合わせて来ましたが、最早限界、地獄絵図が展開されます。
「そんなにみんなこの子死んでるって言うんなら、今ここで刺し殺しても、あたし殺人じゃないよね!?」
っとプッツンきて、娘の生死を司法に委ねるというテンパった母の姿にグッときます。殺人罪に問われる=娘は生きていた、という究極の回答を求めるまでに精神的に追い詰められた母の行動が泣ける。
そして知る、娘が溺れるに至った真相。ああ、ツラい。

最後の母の夢枕に立って別れを告げる娘の姿に涙。
最初、「えっ目覚めた!?うーん、安いけど、母がんばったし良かった、良かった」
なんて安堵してたら、ですよね、世の中そんなに甘く無いですよね、と一人納得。沈む。

会社の先輩に、半ばパワハラ状態で鑑賞を強要された本作、なんで休日にこんなキツい映画観させられなきゃならんのだ?と思いつつ深く沈んだ気持ちで観了。

離婚間近だった夫婦が、娘の介護生活によって再び関係回復していく様が描かれますが、そこまで追い込まれなくても夫婦仲良くしていかなきゃダメだな、と感じた一本(* ̄ー ̄)☆



○キャスト○
播磨薫子:篠原涼子
播磨和昌:西島秀俊
星野祐也:坂口健太郎
川嶋真緒:川栄李奈
美晴:山口紗弥加
進藤医師:田中哲司
播磨瑞穂:稲垣来泉
播磨生人:斎藤汰鷹
播磨多津朗:田中泯
播磨千鶴子:松坂慶子
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