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万引き家族のBascoのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.7
冒頭の万引きのシーンの目線や鏡越しに映すカメラワークや演出と緊張するべきものをコミカルに写している感じに傑作の予感を感じ取った。

キャストの演技が見事なのはいうまでもないが、家族という存在を様々な比喩的な表現で紡いでいく点に感銘を受けた。
家族とスイミーの話だったり、傷を通した絆の表現だったり、リアリズムになりがちなテーマを繊細に丁寧に描いていたのでよかった。

ただし、樹木希林演じるおばあちゃんが死んでから物語は失速していく。
年金に頼っていた万引き家族の切羽詰まった感がそこまで感じられない。
また、事情聴取のシーンの長回しが間延び感を感じる。
ラストも煮えたぎらない感じが個人的には苦手でした。

でも、テーマである血縁的な物理的な関係=家族が当たり前の中で、
その関係に恵まれない人は必ずいるわけでそんな人たちからしたら、心の繋がりを持てたり、安心できる関係=家族となるという世界を可視化させた非常に素晴らしい作品であったとは思う。
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