シュミダス

万引き家族のシュミダスのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
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#万引き家族レビュアー試写会

新聞の片隅に載った小さな記事、日々タイムライン上を流れていく何気ないニュース、そんなものの向こうに、もしかしてあったかもしれない物語が、目の前に立ち上がってきたような物語でした。
今の日本が抱える様々な問題を土台にしながら、決して押し付けがましくなく、家族って?絆って?愛情って?幸せって?善悪って?と始終問いかけられているようでした。
人間の強さ、弱さ、優しさ、非情さ、人間らしく生きること、そういうことも考えさせられました。

あちこちから鼻をすする音が聞こえましたが、笑い所もいっぱい。近藤龍人さんの映像と細野晴臣さんの音楽が繊細で、湿気があって、響き合いがとても美しい。
一昨年のパルムドール、ケンローンチのわたしはダニエル・ブレイクとの共通項もあるけど日本が舞台の万引き家族の方がストンと胸に落ちました。

メインのサクラさん、リリーさん、樹木さん、茉優ちゃんはもちろん、子役2人の演技もとても素晴らしかったです。
まるで、血の繋がらない家族という虚実が入りまじったような。
そして脇を固める役者さんたちが豪華!
「あ、裕貴くんそんな役で…!あ、ちーちゃんと高良くん!」みたいな驚きが。
特に池松くんは、ほんのワンシーンなのに特別な存在感でした。

老若男女問わず観てほしい、そして何かを受け取ってほしい作品なので、公開前に賞をとって本当に良かった!
観た人たちがそれぞれ何を思ったのか、聞いてみたくなる、誰かと話したくなる映画だと思います。