まゆげ

万引き家族のまゆげのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3
是枝監督の作品といえば、淡々とした演出、静かな雰囲気に宿る役者陣の魂と脚本の完成度の高さ、そしてラストのエンドロールへの持って行き方、が特徴的と個人的に思っているが今作はそれが特に功を奏している作品だと思った。

エンドロール前のあの2つのシーンは鑑賞後ずっと脳裏に焼きつき何とも言えない脱力感と共に考えこんでしまう。

家族という1つの集合体を描く中で、様々な現在の日本における社会問題がしっかりと提起されている。

その中の1つでもある貧困の描き方の手腕も素晴らしかった。
柴田家のあのなんともいえない貧しい空間。
それでもいくつも問題を抱えた(ニセ)柴田家の人間には、大切で幸せな空間。
何度もでてくる決して美味しそうではない食事シーンを中心にしっかりと描かれていた。

また、役者陣の演技も子役2人も含め全員凄まじい。

今作は、淡々とした演出の中でストーリーが展開され、テンポも決していいわけではない。
ただその中で見えてくる丁寧なつくりと美しいシーンはこの作風でないと描けないと後から考えると思う。
特に、重要なセリフや設定がうっかりしてると聴き逃してしまうほどに簡単にあかされるし、鑑賞にはとても集中力が必要。
それでも観終わった後に必ず人々に大きく心に残るであろう今作はパルムドール賞受賞も納得。
まゆげ

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