この先この映画を思い出して悩む日々が続きそう
圧巻な演技、素晴らしい。
偽りだらけで集まった疑似家族の中にも、確かに愛情はあった。お互いがお互いの傷や弱さを庇うように一緒にいる。「家族とは一体なんだ」そう考えさせられる映画だった。
しかし実際は年金の不正受給、万引きといった犯罪で繋がる家族である。そして初枝は亜紀の両親から金を貰い、治は祥太を置いて逃げようとし、祥太はわざと捕まったという。愛し合っている家族の反面お互いがお互いを裏切り、いいように利用し合うなんとも奇妙な家族だった。
この映画は単純に「良い家族だった」と思えるような映画ではない。不法行為をしながら“自分のために”生き、その延長線上に家族の絆があるのだ。善と悪、裏切りと愛、常に二面性を持って成り立つ家族の姿は、私達がそう簡単に理解し合える家族ではない。考えても考えても、私がこの家族を理解し、この映画に納得する事はないだろう。
