ゆーり

万引き家族のゆーりのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.5
久々に深く考える映画でした。

パルムドールを取っていなくても、私はきっと観ていたと思うけど、あまりにも有名になってしまい、普段こういう映画を観ない人からの「よくわからなかった」という一部の感想が残念ですが、本当に素晴らしい映画でした。

◆演技
豪華な役者の演技がそれぞれ生きてる。
樹木希林さんの圧倒的な存在感。
私が語るのもおこがましいくらいですな。
安藤サクラさんの愛情深い演技には感動しました。また私も「キレイだな」と感じました。
松岡茉優さんの体を張ったシーンもそうだけど、こんなに自然な演技が出来るんだという驚きがありました。そしてやっぱり可愛い。
リリーさんの、ダメっぷりと優しさ溢れる演技も良かった。
子役の子たちもかなり自然な演技が出来てて、演出もわざとらしくなく、泣かそうとしている感がなくて良かった。
さりげなく、私の好きな高良健吾さんも出ていましたし、池松さんが一瞬出たシーンの存在感がありすぎてビックリしました。
他にも、優しい駄菓子屋さんの柄本さんやかなり嫌味な警察の池脇さんもちょい役で出ていましたが、本当に素晴らしかったです。

◆演出や内容
日本の映画って、少しダラっとしてるというか、展開をせっかちに求めてしまうとやや退屈に感じちゃうことがあるんですが、この映画は割と凝縮されているというか、余白があまりないように感じました。
なので、あっという間に終わってしまったようにも感じましたし、観終わってからの戸惑いのようなものがありました。
考えさせられるテーマが多い。
家族とは?
幸せとは?
貧困、DV、ネグレクト、高齢者の孤独死、性、、、

たぶん、一番は「家族」がテーマだと思います。
家族ってなんだろう、愛ってなんだろうと考えさせられる。
血が繋がっているだけで、籍を入れただけで、愛情は生まれない。
むしろ、その繋がりに頼らないものの方が強かったりするのかもしれないですね。

産まないと母親になれない。
子供には母親が必要。
本当の家族に返した。
一言一言、警察の言葉が胸に突き刺さる。
社会的にはそうでしょうが。
安藤サクラさんの自白や面会のシーンが圧巻でした。
誰よりも深い愛情を感じました。

また、リリーさんの「おじさんに戻る」というシーンも、暗闇でよく見えませんでしたが、(本当は後で迎えに行くつもりだった)と言えば良かったのに、祥太君の事を思って覚悟を決めたのでしょう。

祥太君の行動も自ら考えて正しい行いをしたと思います。
あの若さで、妹を守るために、万引き行為を続けないために、取った行動は立派です。
最後に、あの家族に対して残念に思ってしまっていたら悲しいと感じましたが、バスのシーンで、口パクで放った言葉に感動しました。

また、樹木希林さんの海のシーンの口パクはアドリブだそうです。
もう、樹木希林さんについては尊すぎて語れません!笑

みんな、居場所がなくて、ある意味誰かに捨てられた人たちが、社会的には許されないかたちで絆を深めていました。

テーマが多すぎて、あの時間によく詰め込んだなと思いました。

この映画の感想は一言じゃ話せないでしょう。
よくわからんと言って、他人に一言でまとめてもらうようにしないでくれ笑
自分で考えろい、テーマはたくさんあっただろい、と言うのが私の本音です笑
ゆーり

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