CHEBUNBUN

ジャングルの掟のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ジャングルの掟(2016年製作の映画)
3.4
【フランス版Mr.ビーンは政治を嘲笑う】
カイエドゥシネマ週間で観た作品。
カイエ・ドゥ・シネマ ベストテン2016にて8位に選ばれた典型的なフレンチコメディ。

日本において、フランス映画はお堅いアート映画のイメージが根強いが、実際はコメディ映画大国。アメリカンコメディ以上に不条理で政治的でシニカルな作品が多い。
実際に年間興行収入で観ても、2014年には異人種結婚を扱った「最高の花嫁」が1位を取った。

さて、この「ジャングルの掟」だが、雰囲気は完全にMr.ビーンだ。間抜けな男が、挙動不審に動くコミカルさに笑える。しかし、本作の男はよく喋る。しかも、登場人物皆Mr.ビーンみたいなもんだから混沌に混沌を重ねる。

一見通俗な大衆コメディに見えるかもしれないが、政治や社会を鋭く嘲笑う手口が誠に秀逸。

そもそも、ストーリーが、従来植民地を統率していたフランスの力が衰えている。今こそフランスの偉大さを知らしめようと仏領ギアナにスキー場を立てるところから始まるのです。

現地は到底スキー場なんて出来ないぐらい、現地人との文化差があるのに、
本国ではカタールや中国相手にPRしまくる。その様子は、日本企業の営業と開発、現場と本社の温度差にも通ずることがある。

カオスでしょうもないギャグの中に、
先進国の高慢、文化の不理解に対する強固な考察を挿入する点、日本の映画監督には出来ない技術力を感じました。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUN