りんごあめり

カツベン!のりんごあめりのレビュー・感想・評価

カツベン!(2019年製作の映画)
3.9
2019年12月鑑賞

周防正監督の5年ぶりの新作、そして成田凌の映画初主演作として注目を集めた本作。およそ100年前、大正時代の映画がまだ「活動写真」と呼ばれていた頃が舞台。戦国、江戸、昭和時代が舞台の映画はよくあるけど、この“大正”時代を舞台にした映画はなかなか珍しい。それゆえこの時代を描いた作品自体が昔でも現代でもなく、どこかファンタジックな世界観をまとっている気がした。

ストーリーはわかりやすくてテンポもいい。登場人物それぞれのキャラクターも活きていて笑える。何よりも、ところどころで周防監督の溢れんばかりの映画愛を感じて、それを観客も共有できて幸せな気持ちになる。(これがお正月映画としてお勧めしたい理由であった)

こういう感覚は比較的最近あったなと思い返してみれば、それはクエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(以下、『ワンハリ』)を観たときに感じた感覚と似ていた。この映画も少しファンタジックな世界観の中で、レオ様やブラピらが演じた愛すべきキャラクターが活きていて、やはり監督の映画愛がたっぷり詰まっていた。

こういう感覚以外は全く異なる2作品で、『カツベン !』に関しては終盤にグダグダ感を感じてしまって少し残念だったけど、最初に言ったように何も考えず正月明けなどにゆったり観る映画としては最適。これから本格的賞レースが始まり、注目作もバンバン公開されてくる前にいかがでしょうか?

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