Ami

来るのAmiのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
4.3
やっぱり、やっぱり1番ややこしいのは人間関係だ。突然訳のわからないものに襲われるのは災害も病気も事故も似たようなものだ。来る「あれ」はそういったものに見える。その中で人間たちは自らの態度を省みたりそれで悩んだり人を傷つけてしまったり傷ついたりする。そして次に何をするか、生きていく上で何を選択するか常に迫られる。
生きる目的、生きている意識を見失ったときに自分に潜在する生きる力を見出すものは何か。
この一つの回答として映画では「痛み」が挙げられていた。痛みに顔を歪め、痛みに抗い、痛みを受け入れる、そうして生きようとする自分を確認し、これからどうしようかと思うのだ。特にラストの演出にそれを感じた。
映画のテーマの一つは中絶だ。一人の人間が何を考え何を行動するのも自由なはずである。しかし不思議なことにこの中絶という行為にその後の人生、ずっと責任を感じるようだ。中絶が良いとか悪いとか判断することはできない。しかし中絶に惑う人間は確かにいて、そこに共感し心痛める人間もいる。
生きるとは何かを選び同時に何かを捨てることだ。選ばれなかった人生は一生抱えられる。そうやって過去を忘れられず、振り回されるのが人間の弱さであり、人間らしさではないだろうかと問われているように感じた。その脆さを私は大事にできるだろうか?
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