ぴょんこ

ここは退屈迎えに来てのぴょんこのレビュー・感想・評価

ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)
3.8
特段として最高な映画!という訳では無いが私にはかなり刺さった好きな映画だった。

憧れって名目だけで実像なんてないんじゃないか?と思った。憧れは憧れなだけ。絶対に辿り着くことは無い。ただ今自分の人生を地に足つけて着々と歩いていった者こそ気がついたら辿りついていた場所のようなものなのかと思った。

私は東京は浮ついた街だと言った。確かにそうだと思う。でもその浮ついた人たちの中で確実に誰かの憧れになる何者かになれている人はいる。きっと東京は憧れの存在が物理的に身近にいるから自分も憧れの存在に近づいていると勘違いして、その錯覚状態のまま特に努力することなく暮らしているから浮ついた状態になってしまうのではないかと思った。それで実際には憧れに近づいていなかったと気がついた時に"東京にもなんもないよー"ってなってしまうのだと思う。
何者かになるには地に足つけて錯覚状態に陥ることなく人一倍の努力が必要だと思った。

みんな高校時代を懐かしんでいた。多分それは何者かに憧れた自分に結局なれなかった現実が嫌で何者にもなれてないのが当たり前でこれから何にでもなれると思えるあの時代に戻りたかったのだろう。サツキが高校の時に戻れるならお金払うって言ってた。それくらい憧れることができる時というのは尊いのではないか。

新保くんが時々いう名ゼリフが良かった。
"僕はなれないものにしかなりたくないんだ"
とか"僕の夢は好きな人の中に存在し続けたい"とか"人間は最高のものを共有してはならない"とか"幸福になろうという人はまず孤独であれ"とか。

最後の椎名くんが私の名前を覚えていないのには"勝手にふるえてろ"感があった。

この映画を観て自分の人生を生きていきたいと思った。
私は今大学生で就活前。何者かになりたいと思うし憧れる。でも憧れてばかりの浮ついた状態では絶対憧れには近づけないと思った。
ていうか、私の憧れはなんだろうかって考えたらなんか実体はなかった。やっぱ憧れって憧れている人の中に存在しているだけで実際は存在しないんじゃないか...。

成田凌さすがすぎる。あんなかっこいいクラスのヒーローが教習所の普通の教官にまでなれるんだもん。

邦ロック好きにはたまらん映画だと思う。
最初、LUCKY TAPESの曲流れたよねびっくりした。シティポップと映像が合って無さすぎたけど東京について語るシーンだったかな?だから多分いい感じの違和感演出してたのかな。

あと、キャストが最高でした。
ぴょんこ

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