まくないと

ミッドナイト・アサシンズ/ネオマニラのまくないとのレビュー・感想・評価

3.8
フィリピンの新鋭、ミカイル・レッドによる、薬物、貧困、警察腐敗という当地の現状を踏まえたバイオレンスもの。

ブリランテ・メンドーサやエリック・マッティも同時期にこの題材で制作していて、近年のトレンドの一つであるのが分かる。

勿論、これはドゥテルテ大統領の施策による麻薬戦争も関係するだろう。

印象的な言い回しの、”聖人では無い”人々の中で、弟はあまりにもひ弱で、その不安げな眼差しは常に先行きを暗示する。

この国の特徴的な家族観や身内の助け合いの部分と、対比の様な貧困による無慈悲さは、フィリピンのバイオレンスものには必須な要素であって、本作もそつなく抑えていて好ましい。

デビュー作の「レコーダー 目撃者」から本作と、以降とでは別人の作の様で、ここ二作は非常に残念な仕上がりだけに、「原点回帰」をお願いしたいところ。