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アイ・アム・タレントのsadieのレビュー・感想・評価

アイ・アム・タレント(2016年製作の映画)
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先日『行き止まりの世界に生まれて』を鑑賞し、スケボードキュメンタリーに大変面白さを感じましたが、この作品も負けず劣らず素晴らしい。
『行き止まり』はアメリカ人の無垢な青年が、少しずつ社会の荒波の中で汚れ錆付き、何かを失い、何かを得てゆくような作品です。
今作はタレントとゆう南アフリカ人の青年がアメリカに渡り、生きるためにプロのスケートボーダーを目指していくといった内容です。
アメリカに比べ南アフリカは比べものにならないくらいに生きることが難しく、過酷で、生まれついた時から既に多くの子供は錆付いているように見えます。まずそこに両作の違いがあります。タレントはアメリカで運転免許証を取得するため読み書きを初めて習うのですが、「生きるために読み書きがそんなに必要だと思わない」と衝撃的な一言を述べるほどです。
ほとんどの南アフリカのストリートで生きる少年たちがドラッグや家族、病気の問題を抱え絶望的な生き方をしてゆくなかで、タレントは奇跡的にプロのスケートボーダーとしての活路を見出すことができました。最高の状態です。しかし、これからも様々な問題が彼を襲ってくるでしょう。
作品冒頭で彼はこう述べます―「最高の状況に備えよう」
彼の言葉はとても哲学的です。
それにしてもスケートボーダーを撮るって素晴らしいですね。スピード感溢れトリッキーな動きを撮ることで、作品に立体感と奥行きが生まれる。車では速すぎるし、人の走りより複雑です。スケートボードでしか撮れない映像です。
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