半兵衛

肉体犯罪海岸 ピラニヤの群れの半兵衛のレビュー・感想・評価

2.0
最近になってロマンポルノで活躍した女優、梢ひとみがなんと私の地元の近くの出身(彼女が通っていた高校もよく知っている)だと知り興味を持ち彼女が出演した作品を見たくなって適当にチョイスしたのがこの作品。

日活が全盛期に作っていた不良少年や青年たちによる反逆のドラマのノウハウをロマンポルノに生かせないかと試しに作ったような内容だけれど、主役を担う青年に魅力がないし彼がリーダーをつとめるピラニアと呼ばれるグループの仲間も記号としか描かれていないので全く味のしない作品になってしまっている。それでも出演する女優さんたちは綺麗に撮られているし、エロシーンもふんだんに盛り込まれているし、何より録音の橋本文雄をはじめとする超一流のスタッフや脇の役者さんたちによる安定した仕事振りが映画らしさを保っているので商業映画としては標準レベルを保っているのがさすが。

日活ロマンポルノを代表する職人監督西村昭五郎は安定した仕事をしているが、脚本が結構杜撰なためか全体的に盛り上がりに欠けているので無難にこなしたという印象に。

上流階級と主人公たち下流グループが対峙する後半がカオスすぎて絶句、そして『狂った果実』や『八月の濡れた砂』を復唱したようなラストは決まっているというより過去の栄光にすがってしまっているようでどこかみっともない。あとヒロインの梢ひとみは自分が浮気していたのに付き合っていた主人公に別の女性が出来ると憎むって逆恨みにもほどがあるような。

ちなみに梢ひとみは美人だったけれど、トータルで見たら共演者の潤ますみの方が現代的にも通用する美貌なのでそちらのほうが心に残ってしまった。
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