大杉漣さんの圧倒的演技力に震えた。
全く異なるタイプの死刑囚6人と交わされる対話の緊張感と迫力は、まるで自分もそこに居合わせているかのように感じるほどヒリヒリするものであった。
彼らがどんな罪を犯して死刑囚となったのか、すぐには示されない。
教誨師との対話の中で少しづつ明らかになっていく構造。
なので観客も教誨師の大杉さんと同じタイミングで死刑囚の過去や背景を知ることになりグイグイ引き込まれていく。
この6人のキャラクター設定が秀逸で巧みな演技なので、ひたすら対話シーンが続くが一切飽きない。
見事なキャスティングだ。
死刑制度の是非について簡単に答えは出せない。被害者からしたら、死刑囚に寄り添う教誨師という存在そのものが許せないかもしれない。
それでも世界中に教誨師は存在し、日々彼らの声に耳を傾けている。
人が人を裁く意味とは?
なぜ罪は生まれるのか?
死刑の効能とは?
などなど、日常生活の中ではあまり考えたくないこと、遠ざけたいことはたくさんあるが、見終わってからしばらくは、どうしても考えずにいられなくなる、そんな力強い作品でありました。