教誨師の作品情報・感想・評価

「教誨師」に投稿された感想・評価

大杉漣さんの遺作。良いとか悪いとかではなく、死刑執行を待つものと教誨師との交流の話。深い。
sokwtkhr

sokwtkhrの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

セリフの間合いがうまく、引き込まれた。

日本ドラマのセリフの応酬が苦手なのだが、この映画は、セリフの応酬しかないのに飽きるどころか、むしろ目が離せなかった。

徹底して大杉漣目線なのも良かった。
施設の中は、ほとんど面会室しか登場しない。それぞれの普段の様子はわからずに、面会室での様子だけで、映画が進んでいく演出がすごく良かった。

面会室での態度や言動は本音なのか。
死刑が決まっている人は今なにを考えているのか。
彼らと面会する教誨師のすべき事とは。

「穴を覗くこと」という教誨師の仕事を擬似体験しながら、命と償いと死刑について、まだ考えていて、これからも考えることになるだろう。

観る人によって、注目する人物も違うのかもしれない。

もしかしたら大杉漣さんをちゃんと観たのは、初めてかもしれない。
最期の主演作が死と向き合う作品というのも、不思議なものですね。
らいか

らいかの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

圧倒的な会話劇。
登場人物は多いけどどのキャラクターもたっててとても見ていて気持ちよかった。
大杉漣最後の主演、はじめてのプロデュース作品。
これ見たらなんか連さんとさよならしちゃうような気がしてなかなか見に行けなかったけど見てよかった。
出てくる役者はみんなすごかった。
みんな連さんと対決してるみたいでみんなすごい。けどその中でも私が1番刺さったのが五頭さんの演技。
自分が文字を練習してる様子が完全にデジャヴした演技たるや。力んでうまく書けなくって。
さくらをさくらとたらしめるのは個々の記憶の中のもので完全に他人と一致しない、言葉の意味がわからないは共感の嵐。

なんてセリフだろう。
なんて映画だろう。


あと高宮くん役の俳優さんは美しすぎて。なんて雰囲気だすんだろ。目が離せませんでした。
TAKA

TAKAの感想・評価

4.4
2018-212-177-035
2018.11.23 AC多摩センター Scr.5

・教誨師。向き合っていたのは・・・
・生きてるから生きるんです
・素晴らしい脚本。そしてキャスト
・結局。

ようやく観に行けました(^_^)

大杉漣さんプロデュースの最後の主演作。
予想以上に骨太な作品でした。

大杉漣さんは、死刑判決が確定した死刑囚の教誨師、佐伯保。
プロテスタントの牧師で、ボランティアで教誨師を務めています。

囚人達が悔い改めて心安らかに逝けるように、その手伝いをする仕事。
漣さん教誨師を、そう定義している。

向き合う囚人は6人。
みなクセモノf(^_^;

囚人達の懐に入ろうと心を砕き、懸命に彼等を受け容れようとする漣さん。
だけど・・・

人ってのは・・・
ましてや死刑が確定してる人達。
彼等にとっては、執行以外に怖いものはない。

漣さんは彼等の話を必死に耳を傾ける。
彼等と必死に向き合おうとする。

拒絶しながらもやがて少しずつ、素の姿がみえ始める囚人も現れる。
勿論心を開こうとしない人もいる。
素の攻撃性が顔を覗かせ始める奴。
心の鎧を外そうとせず虚勢を張るサイコキラー。自己愛のみに満ちた独善的な言葉。糞食らえ。それにさえ、真摯に向き合おうとする漣さん・・・

もがくうち
囚人達と向き合っているうちに
いつしか自分自身と向き合っていた。

自分自身の過去との・・・再会。

叫ぶ。

何のために生きるか、
どう生きるかなんて関係ない。

「生きてるから生きるんです!」

この台詞は
きっと一生忘れられない。

重厚なドラマでした。
だけど重厚さを感じさせない。
素の人間が描かれていたから。
重厚ってのじゃないんだ。
そんなんじゃない。

それらが描かれる舞台は
教誨室のみ。
そして
音楽がない。
小道具の機器から流れる讚美歌のみ。

本来はスタンダードサイズ(っていうのかな?TVみたいな奴f(^_^;)の画面は、映画としてはあまり好まないのだけれど・・・
本作に限っては、より人間のみを映してる感じでいいのかも、と思えました。

そう思わせてくれたのは、
やはり脚本。
そして役者さんですよね。

安定の光石研さん。
いい歳の取り方はしてんのかな?烏丸せつこさん(^_^)

だけど出色の出来だったと思うのは

サイコキラー。
そして・・・

ホームレス役の役者さん。

凄かったなあ・・・

でもやはり何より凄かったのは、

生きてるから生きるんです。
この言葉。

結局
そういうことなんだなって気がする。
そして・・・
気付いた。
死刑囚と俺も変わらないのかも。
いつかは死ぬ。
生きるってことを究極に凝縮した素材で描かれたドラマ。
そんな気がしました。

派手さはない作品です。
生と向き合った作品です。
色んなこと考えました。だけど・・・
考えなくてもいいのかも。

生きてるから生きるんです。

そういうことなのかも。

追記。
・初有楽町スバル座の予定でした。
ところが・・・
最終週のオーラスの木金。
18:30の回がない?!!(゜ロ゜ノ)ノ
( ̄▽ ̄;)
慌てました。
徳島ヴォルティスのサポーターだった漣さん。
北野作品で、ゴチになりますで楽しませてくれた漣さん。
どうしても劇場で観たかった。
・・・で、土曜日に多摩センターへ行った訳です。(^_^)
行って良かった♪(* ̄∇ ̄)ノ♪
・初多摩センター。
綺麗で緑があって、素敵な街でした(^_^)
サンリオ・ピューロランドもあるのね♪
でも何より特にポイント高かったのは・・・
往路で、我が川崎フロンターレの麻生練習場の最寄り駅、栗平を初めて通りましたぁ♪
(* ̄∇ ̄)ノ♪(笑)
12/4/18
No.390 m.76

どんどん引き込まれた
ちゃんと向き合う教誨師が大きくて

ラストはどういう意味なんだろうとずっと考えている
柊

柊の感想・評価

3.4
原作未読。
相手が牧師なので、死刑執行までの未定の時間をやはり少しでも悔い改める為に必要とされた機会なのかなと思って観ていたけど…うーん違うな。
そもそも人が起こした事を関わりのない人がどうやって関われるのか?
所詮よそ事である。収監している都合上国はその判決を執行するまで責任があるわけで、見届ける必要から、教誨師のボランティア行為を容認しているだけなのだ。

死刑囚を救う為に教誨師がいるわけではないと言う事だ。それぞれ6人の語る自分を辛抱強く聞く以外にできることはない。
それぞれの個性炸裂の会話劇はそれぞれに見応えがあったが、舞台では有名らしい玉置玲央には驚かせられた。他は安定の演技だけど烏丸せつこは年取っていい感じになったね。
私的には大杉蓮が1番イマイチだったかな。
GOROTUKI

GOROTUKIの感想・評価

4.0
自宅の本棚は、自身がジャンル分している。その中ノンフィクション棚にすぐいつでも読めるように置いてあるのが2014年発売の堀川惠子著「教誨師」である。
この本は、28歳頃から78歳をお過ぎになられて半世紀以上教誨師をやられていた渡邉普相さんのインタビューをまとめ、ひとりの僧侶の目に映った「生と死」を記した名著である。この本は渡邉さんが「この話は、わしが死んでから世に出して下さいの」と言われ、
その言葉を尊重し没後、出版されたのである。そして、本作2018年2月21日に亡くなられた大杉漣さんの没後、公開された作品。
では感想

教誨師の歴史は、真宗大谷派の僧侶城西寺啓潭が名古屋監獄(現・名古屋刑務所)の前身である徒場に囚人教化を請願し、明治5年(1872)7月に認可を受けて実施したことに始まり、教誨活動自体は平安、鎌倉時代から行われていたとされ、かつては牢屋にお坊さんが話しに行ったことから始まったのではないかと考えられている。戦前の教誨師は国から手当が支給されていたが、戦後発布された日本国憲法によって政教分離が確立されるようになり、宗教家による教誨活動は完全にボランティアになったそうです。頭が下がります。現在(平成30年1月現在)神道系、キリスト系、仏教系など1846人の方が宗派など各施設にバランスを考えて振り当てられている。全国教誨師連盟調べ
「教誨」は、強制ではなく被収容者からの希望により行われ、教誨は一回あたり短くて20分〜30分、長くて1時間ほどで、一緒に念仏を唱えたりなどするそうです。

本作は、大杉漣さんの最初のプロデュース作品にして最後の主演作、さらには膨大なセリフ量故、「役者にケンカを売っているのかと思った」と自ら評したオリジナル脚本は、初回のリハーサルから大杉さんは、ほぼセリフが入っていたという。役者根性!^_^
特筆すべきは、限定された空間の中での会話劇が中心の本作は、椅子に座り対峙する為、役者自体の動きが限定され、表情筋、目線、手の仕草で表現しなければならず、役者さんの演技棚の数々が披露され役者は一日にして成らずだなぁと思い知らせた。
とくに、
転形劇場の大杉漣さん!VS劇団柿喰う客の玉置玲央さん!
転形劇場の大杉漣さん!VS青年劇団の五島岳夫さん
転形劇場の大杉漣さん!VSクラリオンガールの烏丸せつこさん
などなどは見ものです。
ただ「VS」と書きましたが、
74年から舞台経験を積んでいる大杉漣さんが、後輩役者の演技を大きなキャッチャーミットで待ち構えいる様にも見え懐の深さを感じもしました。

そんなこんなで
監督インタビューにて
「死刑囚は「死」を持って罪を償うわけですから、懲役刑や禁固刑と違い、拘置所にいる間は宙ぶらりんな状態で、死を待っている。それってものすごく特殊な状況だと思うんです。でも死が訪れるのはすべての人に言えることで、そう考えると我々だってそう変わらないのではないか。」を読んで、
本作の死刑囚高宮真司のセリフ
「暇つぶし」が頭をよぎった。
marica

maricaの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

@アップリンク渋谷

念願の『教誨師』。
もう最初から最後まで無駄な部分がひとつもなく、ずっと食い入るように観た。
最高を軽々超える作品だった。

”故意”って、「規範に直面し、反対動機の形成が可能であったにもかかわらず、あえて行為に出」ることと言われてるけれど、実際、私たちは誰だっていつでも犯罪者になりうる。

小川パパに関しては、突発的なもので、内容も内容なだけにまさしく私たちが一番なりうる可能性の高い死刑囚だろう(きっと野口のおばちゃんもそれに近いのかも)。鈴木は、精神状態に明らかな疑問が残る(野口もだが)。ヤクザの吉田は、おそらく自分についても社会についても、一般人と比べ物にならないほどとてもよく知っていると思う。高宮の言いたいことも、よくわかる。彼には明らかな故意があるが、必ず救える道はあったと思う。死刑の意味とはなんだろうか。もう抑止効果など皆無だろうに…

一番すごかったのは、ホームレスの正一さんだ。字の読めないあの人が、最も真理を知っている。
「さくら」という名前なんかなくても、桜は美しい。では、なぜ名前をつけるのか? 佐伯は「桜の美しさを人々に伝えるため」と答えるが、その「美しさ」を感じるかどうか、感じるとしたらその感じ方も、あなたと私とでは同じではないのだと正一さんは言う。そして、何より、桜自身は自身が「さくら」であることを知らない。

その後、脳梗塞に倒れ記憶障害の残った正一さんだが、洗礼を受けた際、覚えたての字で書いた手紙を佐伯に渡す。
そこには、「あなたがたのうちだれが、わたしに罪があると責める者がいますか」と書かれていた。新約聖書に出てくる一文だ。それは、裁く側だって常に皆罪人であることを自覚しなくてはならないという鋭い指摘だと思う。
そもそも、人間なんかが人間の行為についての善悪を判断できる身分なのか?という疑問が生じる。そう考えると法律だって人間が作ったもので、むなしくて、何もかも茶番に見えてくる。とはいえ、それらを全部とっぱらってしまうのは、やはり文明的ではない(これも思い込みだろうけど)。
一番よい状態は、「人間なんかが人を裁くことは本来決してできるものではなくて、ましてや責める権利などもない。だからこそ、それを充分理解した上で、裁く」ということなのかもしれない。自ら(裁く側)が、これによって更に罪を犯すのだ、という覚悟をもって。

こういう作品って、本当いろんな人に観てもらいたい。元日のゴールデンタイムにでも流してもらいたいくらい。
多くの人は、死刑はもちろん犯罪なんかと自分はまったくの無縁であると思っていて、目を向けようとはしない。でも、自分たちもいつだって当事者たりえるということを頭の片隅でもいいから感じてほしいなと思う。

社会的には悪だけれど、存在的には悪ではない。人間とは、そういうものなのだ。

大杉漣さんの全面プロデュース作とのことだけど、本当に大杉漣さんありがとう…
はる

はるの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

重い。
何が罪なのか。
赦すとはどういう意味なのか。
教誨師は誰のために存在しているのか。
最後のおじいさんからのメッセージで酷く動揺した。

死刑のある意味はあの最期の瞬間なのかもしれないと思わされました。
あれだけ横暴だった人があんな風になるなんて
人との対話の難しさを教えてくれた。

その相手が死刑囚であれなんであれ、飾らずに対話するべきときもあればそうしないほうが良い時もある。
経験だけではどうにもならないときもあるのが対話。奥が深くて、生々しい…
>|