居酒屋で高良健吾が棒切れで役人を追い払うシーン
引きで高良が背面のままカット割らず、駆け寄った多部未華子の顔は最後まで見せない
現在日本で映画の監督をしている監督たちの95%はあそこで二人の顔を画面に出してしまうだろう
勇気がないから
そうだよな、でもあれでいいんだよな
“観ていられれば”カットを割らずとも、顔のヨリを入れずともいいんだよな
そして大半のシーン変わりの前、誰かがセリフを言ったらそれに対して聞いている人物の反応を切り返しでいちいち入れずに即次のシーンに行く
そうだよそれでいい筈なんだよ本当は
編集ででっち上げた動きと映像ではなく、“映画の演出をされた映画”を2019年のシネコンで目撃しているのだという信じられない感動があった
そりゃ『狂った野獣』や『893愚連隊』のほうが面白いかもしれない
しかしそれはあの時期の東映撮影所があって初めて作れるものであって、あの熱狂は本来なら期待すら出来ない筈だ
もしかしたらこれが最後の時代劇なのかもしれない
だって“あの”風景のショット現代だよね?