沙智

チワワちゃんの沙智のレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
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カオスで鮮烈な青春映画だった。若者たちの生のエネルギーが爆発している。
ナガイのチワワちゃんへの恋心とか、ミキのチワワちゃんに対する羨望や嫉妬が混ざってそうな眼差しとか登場人物達の様々な感情が仄めかされるけど、それらがストーリーの軸になることは特になかった。そのような感情の渦を全部ひっくるめて、チワワちゃんを取り巻く仲間達の刹那的で享楽的な青春模様を描いた作品だった。
誰に対しても明るくて眩しい笑顔のチワワちゃん。でもその心の内は誰にも分からないまま死んでしまった。ここまで強烈なキャラではなくても、輪の中心にいたけど本心が見えなかった友達というのは誰しもの思い出の中にいそうだし感情移入して見る人も多そう。石田衣良の小説『池袋ウエストゲートパーク』にも似たような話があった覚えがある。
登場する若者たちが自分とは遠い位置にいるような人物ばかりなので、もう少し地に足のついた青春模様で似たような題材の話を見てみたいと思った。今作もこれはこれで魅力的ではあるけど。
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