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チワワちゃんのるのレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
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2019年3本目。突然のスピード感。笑

仲良くしてた友達は、本名も、境遇も、本性もしらなかった。
原作はSNSが発達していなかったはずの時代の作品なのに、このストーリー現代の私たちに響きすぎる。

なにをしても満たされなくて、ただ時間と若さという武器を持て余して消費していく。そんな大学生の生活をうまく描いてる気がした。

突然現れたかわいくて気立ても良くって明るくて、そんな女が自分の手に入らなかった男の人を手に入れて。いつの間にかグループの中心になっちゃって。心の中には嫉妬の気持ちが消えないのに、それに嫉妬しちゃうような自分もなんだかかっこ悪いし、むずむずしながら。でもこんな想いをうまく消化しきれないまま、彼女はみんなの前から突然消えちゃって。この気持ちを消化するために、いろいろな人に話を聞いて回ってたんじゃないのかなぁ、ミキ。

手に入れられなかったものっていつになってもキラキラして見えちゃうから、吉田くんのことがミキはなんとも思えないようにはならなくて。

頭の中はからっぽで、若さ武器がないから、こんな消費してって10年後どうなっちゃうんだろう?そんなこと考えたら一気に怖くなって、目の前にある楽しさだけで状況を埋めてくチワワ。あのカメラマンに言われたことって、特に生きがいも目標もなくてただ消費していく、そんな大学生みんな響いてしまう言葉だよね。

「女の子は気遣うし、男の子は楽だけど消耗的。」
このチワワのセリフ、その通りだと思うの。女の子には気遣うから一見壊れないのね。でも、これって本物なのかなって疑ったりする。男の子には楽しちゃって、でもこれが仮に手に入ったとしても、永遠なんてないから消耗してって。次から次へと探さないと気が済まなくて。

ほかにも、
「このままずっと会い続けるって思った時が会わなくなる合図」
「またみんなに逢いたいなぁ」
こんなセリフの時に友達のこと無意識に思い出しちゃったな。

すべての状況が自分にもあるんじゃないかって思ったら登場人物みんなが愛しくて。自分の中に全員の要素がいる気がしたなぁ。

キャスト最高だし、チワワちゃんハマり役すぎるし、ナガイくんかわいくて愛したくなるし、一歩引いた目でみてて自分がちゃんとあるカツオくん素敵だし、男に頼りっぱなしで意外と自分がないユミ、全員愛しい。

また観たい、永遠に意味のない考察をしたい。そして、何年後か観たとき、ここまでキラキラはできなかったけど、私にもこんな時あったな。ってなりたい。
る