ビオラ

パウロ 愛と赦しの物語のビオラのレビュー・感想・評価

パウロ 愛と赦しの物語(2018年製作の映画)
3.9
キリスト教徒を迫害し、殺害してきたかつてのサウロ。
こうして映像化されるとその残酷さが明らかになり、その後改心したパウロがその命を捧げる信仰の背景に、殺めてきた人たちへの贖罪が浮かび上がる。その分、彼を突き動かすものは強かったんだろう。

使徒言行録の最後の穏やかなパウロの様子は、真実ではなさそうだと言われていたが、やはりルカによる脚色であったのだなぁ、と思わされる。

地味な作品で、ほとんど暗い牢屋の中という薄暗い映像。
出てくる人物も派手さはないので日本で一般ウケはしないだろう。

この時期、ローマ人にもキリスト教の信徒が出始めていて、ローマの兵士でさえ、自分たちの神々に疑いを持ち始めている。
パウロ教とも言われているキリスト教だが、パウロに熱心な信者がついていて、パウロの話や行動に真髄していた人たちが居たんだなぁ。
聖書では一瞬しか出てこないアキラなどが登場人物として動き回っていることで、使徒言行録の最後やテモテ書の行間をイメージで埋めることができるのは興味深い。
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