古池屋かわず

若おかみは小学生!の古池屋かわずのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
5.0
設定からして「いやいや、そりゃないでしょ」と思っていたことが意外と「それならありえるか」と思わされてしまった。デフォルメされたキャラクターデザインはどうしても低く見てしまう(舐めてしまう)んだけど、金属や板の異常なほどの写り込み(反射)描写、眼鏡レンズの度が入っている故の歪み描写など細やかなディティールがしっかりしていたり、おっこが祖母の旅館に引き取られる原因となる「事故」の呆気なさ、唐突さ、それ故のリアリティなどは、荒唐無稽な小学生若おかみを信じさせるのに十二分な演出効果があった。

一番驚いたのは女性の化粧ON/OFFがはっきりと意識させられた描写だ。旅館の宿泊客の一人で占い師のグローリー水領という女性は初登場時魔術師のような悪魔的なメイクをしていた。これはわかる。そんなキャラがメイクしていない時に登場して「素顔はこんな顔なのか」という展開は漫画やアニメでもよくあるものだ。次に登場した時は下着に近い格好で眉毛も薄く頬にはそばかすのようなものが描かれていて「完全にOFFの状態」でリラックスしていることがわかり、「こんな素顔なのか」とぼんやり思わされる。しかし、そこで終わるのかと思いきや気晴らしでオシャレしてドライブするシーンになるとそばかすは跡形もなくなり眉毛も眉尻まできちんと描かれてあるのだ。アニメで「この人化粧してる」と意識したのはこれが初めてかもしれない。

ストーリーはストレートなものでギャグも散りばめられていてしっかりと可笑しい。優しいお話。
古池屋かわず

古池屋かわず