CheshireCatYK

ブラック・クランズマンのCheshireCatYKのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.3
留学中にカリフォルニアの大学で取っていた社会学の授業で初めてKKKを知った。黒人解放運動についての授業で、KKKは何度か名前が出てきた、ってくらいの触れ方だったんだけど、アメリカ人向けの授業だからもちろんKKKは知っていることが前提で、KKKが何のことか、という説明はなかった。きっとアメリカでは全国民が小学校とかで習うのだろう。(補足:日本の高校でも世界史を取っていた友人は習ったみたい…わたくしは日本史専攻ですた)

KKKといえば「黒人差別」っていうイメージが強いけど、「白人至上主義」であって、ユダヤ系やアジア系や、とにかく白人以外への差別意識であることはあまりメジャーに話題にされない気がする。黒人であるスパイクリーが撮った映画なのに、黒人だけではなく、KKKのユダヤ系移民に対するひどい差別意識がかなり手厚く描かれていることもとても興味深い。

アダムドライバーの黒人風英語練習の場面で爆笑してたと思いきや、途中から、どんどん胸くそ悪い感じになって、ドキュメンタリータッチになる流れもとにかく素晴らしい。White trashの描き方もリアルだし、逆に黒人が「ただ生活しているだけ」なのに恐怖や身の危険を感じないといけない出来事に巻き込まれるという理不尽さをリアルに描く。

こんなことが、こんな恐ろしい考え方が、存在し、広まり、支持を得ているという恐怖。

最後の方、ラジオ番組と思われるアナウンスに合わせて繰り広げられる、おぞましい映像の数々。アメリカの闇、人種問題のおぞましさを、痛烈に表現した名作。

権力への闇の忖度により埋もれていた話であることも衝撃。

すごいくだらないけど、主役の名前Ron StallwarthのStallwarthが、ちょいちょい「StarWars」に聞こえるから、アダムドライバーを起用したギャグ?と思ってたら、笑、映画の原作者でもある主役の人の本名だったから勘違いだった(笑)