ぱたぱた

ブラック・クランズマンのぱたぱたのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
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物語の入り口と出口で、これはまじの本当の現実の話だからな、という強い意志による宣言があって、物語自体は丸く収められるけど、現実は違うんだからな、と丸く収めさせないのが良かった。
それがこの映画の一番大事なところだと思うから。

という釘をさす部分もありつつ、ユーモアのバランスもあって、そのバランス感覚が最高。

KKKの入会の儀式と、黒人たちの集会のシーンが交互に写されていくのも良かった。
排他的で過激なのはどちらも同じ、というような描写をしたり、主人公は警察の中にいることを選んだり、活動家の女の子は警官でいることにやっぱり耐えられなかったり、そういうものが丸く収めさせない気持ちに繋がってるんだろうなと思う。主人公をああ描きつつも、戦いも肯定していると思う。
運動に対して、自分個人は主人公みたいな立ち位置で意見を持ちがちではあるけれど、活動をする黒人たち(どんな場合にせよ迫害されている側がここには当てはまる)にそんなに熱くなるなよ、なんて口が裂けても言えない気持ちは存分にあるし、最近のフェミニストの活動に対してもだいたい同じ感想持ってるよな〜と思う。

もはや、対話に対する希望みたいなものはかなり失われているのに、戦うなというのもそれは酷じゃん、と思ってしまう。だってもう、毎日このままじゃ世の中終わりなんだなぁ、って思い続けて行きてるのにね。
でも対話をしていこうよ、という気持ちもあるし、色々なやり方があるじゃんって気持ちももちろんある、というかできればそちらを取りたい気持ちもあって、日々絶望感が高まるにつれて、対話よりも怒りの戦いに軍配を上げる気持ちは強くなるよね〜と思う。正解はないのでむずい。

選挙の日に見たので、うぉおん、という気持ちだし、帰りにやっぱ絶望しちゃうね、と話しながら帰ったけど、こういうものを定期的に思い出すのって大事なんだな〜。

関係ないけど、電話のシーンで逆に傾いてる演出が、最後の電話(ネタばらし)の時には起きてなかったの、ちょいいいな〜と思った。
あと、最初の活動家の女の子とのダンスシーンめちゃ良かったな。かっこよかったな。

あとは、普通に差別の文化とかについてもっと造詣が深かったら、とか、英語の発音の差みたいなものがもっと感覚的にわかれば、もっと面白かっただろうな〜と思う。
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