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存在のない子供たちのTUのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.8
渋谷ヒューマントラストシネマにて。

シリアの隣レバノンのスラムを舞台にしたアラブ映画。監督もレバノン出身。
出演者が監督以外は全員役柄とほぼ同様の立場の不法移民や子供達であるらしく、厳密には演じていると言うより有りのままを訴えているという方が近いよう。

描かれている惨憺たる光景に対して映像は繊細で、描写や演出から現場にいるような温度やにおい、感触すら感じられ監督の今作への並々ならぬ追求が伝わってくる。
また脚本や音楽などの映画としての要素全般が高いクオリティで調和していてレバノンや子どもと貧困について知るきっかけとして、ドキュメンタリー映画とはまた違った強烈な説得力を持った作品であると思われる。

主人公のゼインを演じたゼイン君は本当に素人かと思うくらい堂々としていて天才子役どころのレベルじゃなかった。これだけでも絶対観る価値がある。
そしてあの「SPSS」のジャージはめちゃオシャレ。

余談だけど、今作の前日に観たスパイダーマンについて話しているシーンがありちょっと運命的なものを感じた。
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