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アメリカン・アニマルズのloserのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
3.5
『自分は特別じゃない
だからこんなに並外れた事をやるという発想が俺たちに響いた。俺に響いた。』
うーん、ちょっと難しく考え過ぎたかな。
冒頭、ダーウィンの『種の起源』の一節が表示されたり、盗む本はダーウィンにこだわっていたように見えてしまい。
彼等の行動と人類の進化がどう関係してるのか?
彼等は本が欲しかった訳じゃなくて、自分達が【特別】になりたかっただけで、くだらない毎日を変えるきっかけが欲しかったんじゃないか、本を盗む事で生まれ変われると思ったんだろう。
その行動心理は種が進化するきっかけと同じなのかもしれない!
…って無理矢理こじつけて考えたけど
さすがに無理があるな。

この映画、ドキュメンタリー映画のような構成で、実際の事件を再現した話と実際の犯人や被害者本人のインタビューを交えながら展開されている。
しかし、これがわざとらしく『嘘臭く』感じたのは自分だけかな??
映画開始の『この映画は事実ですよ』の説明が妙に回りくどいし、実際の犯人のインタビューがどこか演技ぽい、というか犯人達のキャラ濃い。一般人かと疑うレベルで役者ぽい。
そもそも何故、この事件を映画化したのか??実際、被害者も居るわけだし。
歴史的価値のある物の窃盗は罪も重いと思う。傷ついたりしたら取り返しつかない!

でも、この映画の面白い所はまさにそこで、この事件自体がとても【嘘みたいな本当の話】で、犯人グループの面々も実際キャラが濃い、犯行計画も老人に変装して盗むとか馬鹿デカい本を布で包んで盗みどこぞの闇ブローカーに金に変えて貰うとか普通に考えて頭悪そう、また誰も傷付けたくないとかデカい犯罪を実行する割に考えがヌルく、映画を参考にしてるだけあって事件自体にどうもリアリティが無い。
そんな嘘みたいな事件をどこか嘘臭く映画として作るのが面白い

そういう意味では、監督は元ドキュメンタリーを作っていた方のようですし、被害者の方にはきちんと許諾を取り本人に配慮しながらインタビューするなど拘って作られていました。
一見、青春映画を思わせるシーンもあるけどインタビューを受ける犯人の彼等の表情からは事件に関して思い出し話すのは辛そうで、後悔している印象しか無かった。
結果的には【嘘みたいな事件】を【嘘っぽく映画化】にしても事件に関わった犯人や被害者のインタビューはとてもリアルでとても説得力があった。

備忘録
盗もうとした本『アメリカの鳥類』に描かれた鳥はほぼ実物大の為、あの大きさ。
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