小林太郎

アメリカン・アニマルズの小林太郎のレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
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平凡な毎日に風穴を空けたがった4人の大学生の犯罪録。

見所がありすぎて鑑賞後に良い意味で心が迷子に。

「徹底的な実話」

映画は "誰かが作ったモノを観て楽しむ" という、シンプルな構図だと思っていましたが、この映画は個人的に
「作った人」と「観た人」が一つの事件について "一緒に考えていく" という表現がしっくりくる作品だと思いました。

冒頭にも書きましたが、さらに見所が多すぎるので2点にまとめてみます。(まとめきれてない)


・"つくりもの" として面白い
平凡な日常の描き方、そして徐々に"犯罪"という領域に足を踏み入れていくスリルと興奮がとても良きでした。
計画している犯罪自体も図書館で本を盗むという、爆発やスカイダイビングとは程遠い日常の延長線上にあるもの。
だからこそ現実的で生々しくて、 "罪を犯す" という非現実的ではあるがしかしどこかで身近に起こりうる&想像しうる事象を肌で感じることができました。
様々な名作映画のオマージュ、ダメダメだけど変に真面目で純粋な面子、楽しい要素もたくさん。
バイオレンスな要素が溢れている昨今の娯楽業界において、「暴力って本当はこんな形なんだよ」と、教わったような感覚でした。
この映画がフィクションだったとしても、素晴らしい点だと思います。


・これはドキュメンタリー?
事実を記録して伝えるという大きな側面を持ちながら、なぜかそれが側面の一つのままになっているような感覚を受けました。
事件の犯人である本人たちも出てきますが、なんていうんでしょうか、役者さんと本人の差というか違いが全くないんですよね。(漠然とした表現ですみません)
つくりものとドキュメンタリーという二つの相容れない要素が合わさっているはずなのに、 "映画" として楽しめてしまう。
実際の犯罪について扱った映画だけに、楽しめてしまうことすら罪悪感を感じるレベルでした。
だから感情が迷子になるのです。


映画内で起こったことを、まるで自分が体験しているような感覚でした。
この4人のこれからについても強制的に考えさせられたし、この4人に関わった人たちについても考えました。

「スタンドバイミー」のような、未熟な集団が冒険する無邪気さもありながら、犯罪録として、徹底的な実話として作られた完璧な映画!

あと本人たちの雰囲気かっこよすぎるだろ!!
最初の方とか本人役の役者さん使ってるのかと思ったぞ!!!
小林太郎

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