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性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々のbpondのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

パートナーに誘われて鑑賞。少し前は、共感しすぎてしまうので、LGBTがテーマに絡むドキュメンタリーはむしろ見れなかった。でもこの歳になって、自分と向き合う中で、一周回って悲しみとの折り合いのつけかたがわかったような気がする。素直にすとん、と落ちてきた。
倉持くんが、海で笑顔を見せるシーン、胸というものの存在がどれほど今まで彼から笑顔を奪ってきたのかと思って泣けた。そしてそれから解放された笑顔の素晴らしさ。いちばん良いシーンだった。
新井さんがバーで激昂するシーンはちょっと見ていてつらかった。漫画で感じる整った思考の部分とは別の、心の弱さを感じてしまい、もっとアライさん自身も救われて欲しいと思った。死ぬまでのショーとして、周りに漫画を通して発信することは、あくまでもただの発散であって、いつまでも傷は癒えないし、苦しみがあるままで終わってしまう。こうくんの存在が、その癒しになってくれればいいのにな…。でも無理矢理そういう、2人をくっつけようみたいな方向に進まなかったのは監督の誠実さのような気がして、ドキュメンタリーとしては信頼できるのかも。
世の中がほんの少しずつでてあっても、理解に向かって進んでいるのを実感する反面、終わりの見えない闇のように感じる時もあり、こういった映画の影響力をもって、今後もっと理解が進むことを祈る。
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