はしご

ペット・セメタリーのはしごのネタバレレビュー・内容・結末

ペット・セメタリー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

シンプルに丁寧に怖かった。
序盤は普遍的な死と別離への恐怖と悲しみ、悔悟や自責の念による苦しさで駆動して、中盤からはペットセメタリーらしさに切り替わっていく。
切り替わっていくんだけど、なんだか違う映画から色んな演出がペットセメタリーに混ざり込んだみたいな多彩さがあって、振り返ってみると案外そんなシンプルじゃなくて色んなことやってたんじゃないか……?と思えてくる。

ヴィクターくん、親切すぎない?助けようとしてくれたから助ける、とずっと守ろうとしてくれて……良いやつだったよ……シャイニング持ち感がある

エリー強すぎる。チャッキーみたいな強さ。ルイスを蹴って吹っ飛ばせるキック力でちょっとだけ笑ってしまった

ファーストシーンがラストシーンの後の光景なのと、ラストシーンの最後に車のリモコンキーでドアが開くぴこぴこって音が鳴る絶望感や悲しさが良かった。

普通に苦しくて怖くて悲しくて切実なのが良かった。自分が生涯の中で死別してきた人や犬や猫のことを思い出した。
腕の中で看取った猫の死後に中々その死を受け入れられなくて、1週間は部屋に亡骸を安置していて、だんだんと死臭を放っていく猫を撫でながら、生き返ったりしてくれないか、実は死んでないんじゃないか、と耳を当ててありもしない心音を聴こうとした日を思い出す。死んだ猫の鼻から漏れてくるよくわからない体液をティッシュで拭って捨てていく。死体の匂い。不快なのに不快だと思いたくない匂い。死後に続く愛着。
もし彼らを生き返らせる術があったら私も手を出してしまうんじゃないかな。

いやヤバいって。時には死のほうが良い。眠らせてあげよう。でもそんな理性が哀しみの中で正常に働くと期待するのは無理だな、というのが人の弱さとしてペットセメタリーのテーマだから、そこのところを抱えて帰り道に着いた。
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