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天使のたまごのnocchiのレビュー・感想・評価

天使のたまご(1985年製作の映画)
3.5
押井作品でまだ見ていなかったもの。prime終了間際だったので鑑賞。別フレか何か少女漫画をちょい暗めメンヘラに描いた、とかかなと思っていたが、あそっち系の天使ですねハイといういつもの押井さん。

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希望と、その虚構性の話。

建物が瓦解し水に侵された荒廃した世。
少女は、天使が入っていると信じている卵を孵化させようと大切に守る。
一方、少女に近づいた男は、それを信じられずに殻を割ってしまう。
卵を失った少女は嘆き悲しみ大人になる。

男は、現実のみ見、自らの生き方を変えることはないが、この世を生きるのに、卵の中に天使が眠ると信じつづける少女はそれ自体が希望のようなものであると淡く思う。
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卵の中に詰まるのは、まだ訪れていない夢、希望、温かで優しく、愛おしい、きっと素敵な、それ。
夢などないのだと、卵を刈り取ろうとする魚でさえ、存在しないのかもしれない。

少女と男の交差は、処女性の喪失にも掛けられているように見える。信じていたものが"それ"でなかったと知る大人へのプロセス。

きわめてアート。
なんちゅうフェチで暗い作品かと思うが通常運転。…押井版ルパン…w
やっぱり魚も卵もいないのかもしれない。キャラデ天野さん雰囲気合うね。そして作画に貞本さん入っとる。
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