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ビューティフル・ボーイのreephanのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
4.0
「わたしのティモシーちゃん」と言って、ガチでともだちに引かれてるけど、でもやっぱり彼は美しいなぁ。

めちゃくちゃいい子で、家族も大事にできて、頭も良くて、運動もできて、そして薬に溺れるニックとその家族、主に父親のお話。
どうしても薬物の映画って何となく道徳の授業みたいな気持ちになるし、そもそも幸せではないことが多いから苦しくなるしあんまり観たくはないって気持ちになっちゃう。これもそうだった。でもわざわざ人物が事細かに語ったりせず、説明くさくないからなのか、画面に映し出されているものから読み取る余地があるからか押し付けられてる感じはしなかった。
父親の葛藤、自分の何がいけなかったのか、何が息子をそうさせてしまったのか過去と現在を結ぶ姿が本当に苦しかった。
ニックが薬にはまったきっかけだとかもまったく描写がない。けど、そこもいろいろ考えさせられる。優等生であることのプレッシャーからなのか、興味本位で手を出したのか、ともだちに誘われてついやってしまったのか…よくわからない。けど、やってしまう動機なんてきっとそこらへんにたくさん転がっていて、いつでも辞めれるって気持ちから辞めなくていい、どうしたら薬が手に入るかいつも渇望している状態への変わりっぷりがすごかった。その人の意思云々ではなく人間が破壊されてしまっていて、どうにもならない絶望感、たまらなかった。語り過ぎないからこそすべてを知らない家族のような気持ちになって観てた。もし身近な人が依存症になったとき、自分ならどうするか。必死で辞めさそうとするのかなぁ。ハグして受け止められるのかなぁ。それとも拒否する?日本にも薬物中毒というか依存症に対するリハビリ施設ってあるだろうけど、アメリカと比べたら深刻化はしてないだろうし、でも薬物使用者に対してのアプローチを国は考えなくちゃいけないんだろうな、今は逮捕しかないもん。
シガーロスのきらきらした曲の中、徘徊するボロボロのニックの姿と、ニックにビューティフルボーイを歌ってやる父の姿が忘れられない。
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