ジャクシタマオ

ビューティフル・ボーイのジャクシタマオのレビュー・感想・評価

ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)
4.0
ドラッグに溺れた息子と、それを必死に助けようとする周りの人の話

父親目線と息子目線の2つが描かれているため内容自体は分かりやすかった

息子のニックは「6つの大学全てに合格し、読書が好きで、水球選手」であり優秀であったために、色んなしがらみから解放されたくてドラッグに手を染めてしまったのだと思った
これはエンドロールの詩からも分かる

父親デイビッドはニックが産まれた後に一度離婚し、親権を手放したものの「世界中の全ての言葉を集めても表現しきれない」ほどニックのことを愛しており、純粋だった頃のニックを知っているからこそ、ドラッグに手を染めたニックのことが分からなくなっていた


日本ではドラッグ依存症というのはあまり身近なものではないと思うが、依存症という面で見れば、アルコール、タバコ、セックス、など多様に存在する
作中でニックは何度もドラッグをやめたと発言していた
しかし、不安感からまたドラッグに手を染め、また後悔しての悪循環を繰り返していた
デイビッドもニックを救うために何度裏切られても信じ続けていたが、最後にはニックを救うことはできないと諦める
また、ミーティングの場面である女性は「1週間前に娘を過剰摂取で亡くしたので喪中であるが、もっと前から喪中だったのかもしれない。ドラッグに手を染めたことによって元々の娘は存在しないのだから」と言っていた
ドラッグに限らず依存症というものは、自らを悪循環に陥らせてしまうものだと改めて実感した
また、周りの人は支えることしかできず、悪循環から抜け出すためには本人の強い意志でしか不可能だという歯痒さも覚えた

依存症から救うためにはどうしたらいいのか、とても考えさせられる映画だった