槙

プラネティストの槙のレビュー・感想・評価

プラネティスト(2018年製作の映画)
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小笠原諸島に住む人々や歴史を捉えつつ、主眼は普段は歳で生活している俳優やアーティストたちが島へ赴いてそこで楽器を演奏したり海に潜ったり自然に足を踏み入れている様子。キネ旬の星取りレビューではこの点がからく評価されているんだけど、豊田さんがやりたかってことってそういう、小笠原の自然と歴史をことさらに賛美することじゃないということは一目瞭然なのに何を言っているんだ、という気持ち。

撮影が始まったのが2014年。特に震災以降、わたしたちの感情や精神がネット上に集まってデバイスというもので可視化される時代になったと思う。感情が自分の身体から離れた場所に表出している時代。そんな時代に自然であろうが都市であろうが、自分の身や心を〈今ここ〉にどう置いたら良いのか。
そりゃ、いつもの豊田さんの作品を知ってる人からすれば「豊田さんのオトモダチ」という認識になってしまうかもしれないけれど、そうではなくて、都市に生きる彼らが自然に立ったとき、もう自分には身体しかないというときに彼らの心身はどのような反応をするのか。こういうのって「現地の人」を映してるだけでは伝わってこなかったと思う。

作品そのものとは直接関係ないけれど。去年から今年にかけて、いろいろ、本当にいろいろな出来事があって、もう「プラネティスト」を見ることはできないんじゃないかって何度か思って。でも、豊田さんが生きてて、わたしも生きてて、じゃあ意地でも絶対に見たいってずっと思ってた。作品グッズのTシャツだけ1年前に買って着て、ずっとずっと待ってた。だから、無事に劇場公開されたことがとても嬉しいです。豊田監督、改めて「プラネティスト」公開おめでとうございます!!!!!!
槙