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凪待ちのkakakaのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
1.0
香取慎吾本人がインタビューで、「このタイミングだからこそ出来た演技」と語ったように、確かに沈黙して思い悩む姿、表情には何かやるせなさみたいなものが滲んでいる気がする。
が、ギャンブル中毒で、短気、一度キレると手がつけられない、という背景を持つ主人公と言う割に、物語の転換点となる西田尚美との車中の口喧嘩シーンも、印刷所での大立ち回りも、何か怒りの演技に対して温度が低い、というか、言ってしまえば怖くない。邪悪でなく、迫力が無い。声の妙な高さも足を引っ張っている気がする。
加えてこれは脚本の構成の悪さだが、後半には彼のギャンブル中毒の重症度は判明するが、映画のオープニング、あるいは序盤で、その重症度は語られるべきで、後からギャンブルで身を崩すエピソード見せられても、後付けに見えて、そもそも彼の人間性の定義が非常に分かり辛く、共感し難い。
根はいい奴だがギャンブルが絡むと人が変わるとか、もともと暴力性を内包している人物とか、序盤で定義しないと、何でこいつと西田尚美が一緒にいるのかも説得力に欠ける。
決定的なのは、昔の仕事仲間が電話をかけて来た翌日、ニュース映像で彼の姿を見て、自暴自棄になり、後先考えずヤクザの事務所に殴り込む様も、あの内容の電話とテンションなら、相手が何か悩んでるなんて想像つくし、自分自身が追い詰められているから、他人に優しく出来ない、という風なら分からんでは無いが、あのニュースを見たリアクションから察するに、本当に何も感じてなかったんだと、こいつはあまり賢い人間でもないことが分かるので、完全に気が萎えた。
義父が船を売って300万を手にし、ギャンブルで全部溶かして、今度は勝って300万戻って来たと思ったら、また船を買うって、バカかよ!!いい加減にしろ。何?マネーロンダリングしてんの?この一連の展開、見てて本当にイライラする。
西田尚美の事件の真相も、見え見え、とかそういうのは置いておいて、完全に物語の主軸と乖離していて、香取慎吾以外リアクション取らないので、まじで俺だけ白昼夢見てるのか?という気分になり、もう何を見せられてるんだか。
エンドロールの映像だけがリアルで、語る力があるので、それを見せられるセンスがあるなら、もうちょっと本編なんとかならんかったのかなぁ。
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