相容れない家族から地球の誕生まで遡るのは少し演劇的な感じがして、私は、私は、もうこれ以上の創作物が必要ないんじゃないかって思って、もうこの映画さえあればこの世に芸術は必要ないんじゃないかなって、苦しかって家に帰ってから泣いた、劇場では泣かなかった。
世界の根源は人間の真ん中にあったりして、セカイ系と呼ばれるものをそんなには好まない私がこの映画をとても愛しているというのはつまり、その根源への言及があまりにもあまりにもあんまりにも丁寧だったからだ。最初に演劇的だなんて書いたけど、丁寧な初期爆発の起こりに対する描き方は明らかにアニメーション映画でなければ表現し得ない美しくて悲しくて儚いあり得なさだった。
でもエンドロールの後は好みじゃなかったな……エンドロールで終わって欲しかったのだ、現実の説明は不要だった、世界は完結していた、でも不要なエンドロール後の描写があったからこそ、私は未だに創作物に触れていられるのかもしれない、この作品が完璧でなくってよかった。