りんごあめり

アルキメデスの大戦のりんごあめりのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
4.0
ドラマ出演や歌手活動として露出はあったものの、スクリーンでは『生きてるだけで、愛』(この映画すごく好き)以来、主演作でいえば『となりの怪物くん』以来の菅田将暉。『あゝ、荒野』『帝一の國』のように強烈な存在の菅田くんをそろそろ見たいなって思ってたので、すごく楽しみで。

結論から言ってしまえば、やはり菅田くんはすごい!劇中で菅田くん演じる櫂直(かいただし)は、“100年に1人の天才”と言われているけど、菅田くんも俳優界において100人に1人って言っていいと思う。歌う姿にしても演じる姿にしても、どこか昭和の大スターのようなオーラを1人だけ出してる。まだ20代半ばという若さなのに、この才能とエネルギーは何なんだ。

そんな天才の脇を固めるのは、本当に昭和を代表し、現役でもバリバリ活躍する大物俳優の皆さま。この映画は、山崎監督の迫力の映像、菅田将暉のパワー、そして舘ひろしをはじめとする大御所俳優の圧倒的な存在感により、とても重厚感のある映画になってる。個人的に田中泯の存在感が特にやばくて、洗脳されそうに(笑)

ちょっと話は逸れるけど、今年話題になっている『新聞記者』。とてもメッセージ性が強い作品ではあるけども、問題提起に関して答えを出さず、あまりすっきりしない感じで終わっているんですよね。現実ともリンクする話で、何が正しくて、どれが正解かってことはないけど、なぜ世の中が嘘や偽装を重ねてでも、暴走するように物事を進めようとしてしまうのか――その本質的な理由を、田中泯演じる平山忠道が言っていたように思った。(あくまで個人的な感想ですが)

私は『新聞記者』主演の松坂桃李にアカデミー賞主演男優賞を取ってもらいけど、この映画で菅田将暉の2回目受賞は全然ありえる。

絵はなぜこのシーンを選んだかというと、櫂直が自らの行動力と能力で、資料も時間もない中、たった1人で設計図を完成させてしまったということがめちゃくちゃかっこよかったから。最初は櫂のことを毛嫌いしていた田中正二郎(柄本佑)も、そんな姿を見て、自然と櫂を尊敬し協力していくようになる。

現代の働き方改革のような感覚じゃこれほど大きなことは成し遂げられないだろうし、厳しいわけも放任なわけでもないけど、周囲の人のやる気や労働意欲も自然と引き出してしまうような魅力あるリーダーは必要ですね、ってこと。

2019年7月観賞
りんごあめり

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