あろわ

7月22日のあろわのレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
4.1
2011年7月22日。
午後3時17分、ノルウェー首都オスロの政府庁舎前で、爆弾を積まれた車が爆発。周囲の建物を破壊し、8人が命を落とした。
同日午後5時すぎ、オスロから約40km離れたウトヤ島で、銃乱射事件が発生。72分にわたり540弾が発砲され、サマーキャンプに参加していたノルウェー労働党(中道左派)青年部の若者約700人のうち、69人が亡くなった。
両事件における負傷者数は319人にのぼる。
犯人は極右思想の持ち主で、移民受入などに強く反対していたアンネシュ・ベーリング・ブレイビク。

ノルウェーには死刑や終身刑はなく、禁錮最低10年最高21年が最も重い(ブレイビクは仮釈放を審理する法廷でナチス式敬礼をしたり白人に対するジェノサイドをやめろというプラカードを待ったりして未だ社会への脅威であるとみなされ、刑期が延長されている)。刑務所での生活も、必要最低限の自由以外は奪わないという方針。事件後の対応も、怒りにまかせに過激な処分を与えると彼の思う壺、憎しみに憎しみではこたえない、という思いも大きかったそう。

作中ブレイビクが「一番弱いところを突いたんだ」という発言をしていたが、なんて卑怯な。自分の発言が通らないからといって、力の弱い子どもを暴力で襲い、首相が自分の発言を聞いていることに得意気になり、親にとって自らの命よりも大切な存在を脅威に晒すことによって世間の注目を集められたと勘違いする。
対するのが誰であっても、国や政府のように大きなものであっても、同僚や夫・妻のような身近な存在であっても、とにかく暴力で自分の意見をきかせようとするのは間違っている。手を出した瞬間、意見の正しさはどうであれ、100%間違った行動になる。何故世界から暴力がなくならないかな…
辛い。

辛い作品だけど、みんなが知るべき内容だったと思う。
私は本作に続き、すぐに"ウトヤ島、7月22日"も観ました。この事件について知りたいと思う方は、併せて観ると、状況が違う方向から掴めて良いと思います。
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