たむたむ

7月22日のたむたむのレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
3.6
『ユナイテッド93』のポール・グリーングラス監督が、2011年7月22日にノルウェーで起こった連続テロ事件をもとに描いた実録ドラマ。

単独としては史上最多となる77人の命を奪った、凄惨な事件の実行犯であるブレイビクの獄中や裁判での発言や、九死に一生を得た少年ビリヤルと家族たちが正義を求めて再起する姿を通して、身勝手な犯行が法廷で裁かれるまでを描く。

ネトフリ未加入だったので必然的に『ウトヤ島…』→本作の順番で観ることになったわけですが、鑑賞順としてはこれで正解だったかも。

本作は事件の背景を含めた俯瞰視点で描かれており、徹底的に被害者目線が貫かれたドキュメンタリーテイストの『ウトヤ島…』と比較すると、かなり映画的な作風。がっつり冒頭から犯人が登場して来るし、銃乱射事件シーンは序盤だけに留まっているので、全体としては、被害者たちや犯人ブレイビクの弁護を担当することになった弁護士、司法、国、あらゆる視点を通して描き出す、法廷劇を絡めたヒューマンドラマといった印象。なので、事件の追体験するなら『ウトヤ島…』から観た方が、純粋な恐怖を味わえると思います。

こちらは事件を、より深掘りしたい方向けかな。ですが、追悼作という意味おいては、本作の方が価値に値するように感じました。そもそも『ウトヤ島…』は、あくまで事件をベースにしたフィクションですし。。

死刑や無期刑がなく、重犯罪者であっても人権が保護される国ノルウェーでは、隔離状態のブレイビクの孤独が今なお続いているのだそうです……
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