みけ

薄化粧のみけのレビュー・感想・評価

薄化粧(1985年製作の映画)
-
外道を演じさせたら右に出る者はいない緒形拳の、驚くほどに美しい恋愛劇である。
下衆でしかない主人公が、何でこんなに純粋な存在に見えてしまうのだろう。外道が「運命の人」を求めるなんて、そのために人の人生を奪うなんて、なんとも身勝手な話である。でも倫理観を越えて湧き出る情念がたまらない。
ラストシーンはなんと、生粋の少女漫画である池田理代子の『オルフェウスの窓』を彷彿してしまった。
運命なんてないし、「運命の人」だっていない。あるのはただ偶然とタイミングだけだ。でも彼らには、間違いなくお互いの愛が「運命」に感じられただろう。
みけ

みけ