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ラストレターの中のレビュー・感想・評価

ラストレター(2020年製作の映画)
3.7
最初から最後まで美しかった
観ているときは、岩井俊二が作り出す美しさと刹那に支配されているみたいでここで泣く?ってときに自然と涙が流れたり。広瀬すずが喋るだけで、傷口に水がしみるみたいで苦しくなったり、ラストの卒業生代表の言葉は学生時代の未熟さが故の煌めきみたいなものが詰め込まれていてしんどくなった。胸が熱くなった。こうやって、学生時代がどんどん幻になって大人になっていくんだなと思った。
過去作と比べるのはよくないけど、やっぱり何かが違う。これはこれですごくよかった、余韻もあった。でもその先に何も残らない。ただただ美しい思い出のようで。でも岩井俊二の描く美しさって、その中に痛さや怖さがあるからこそ独特なものがある気がする。今回はそれがなく、なんか、むず痒く感じた。悪く言ってしまえば、中途半端なかんじ。
映像がとても美しいのだけど、やっぱりフィルムにはかなわないなぁと思った。リップヴァンウィンクルではそうは思わなかったけど、今作は内容が内容なだけにフィルムのほうが合っている気がする。篠田さんが撮影してたらどんなものになっていたんだろう…
それにしても広瀬すずはショートカットがよく似合う。幸薄くてとても好きだ。
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