トーキングヘッド

ラ・ポワント・クールトのトーキングヘッドのレビュー・感想・評価

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)
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上アングルからの構図のもたらす、奥行きのなさ、整理されて見える動き。この二つがヴァルダの映画を形作っている。
そして、その画面によってもたらされる鬱屈と不安こそヴァルダの映画なのである。
音も同じくこの不安と鬱屈に寄与している。木が軋む音、金属音、ボートの音、不安定で無調音楽のような劇伴。もっと爽やかな景色にもなりうるこの港町にそれら音だけが不自然に響く時、ヴァルダ映画の不幸性は加速していく。
音と構図が観客の知覚にいかに大きな影響をもたらすのか、見本のような映画。