ラ・ポワント・クールトの作品情報・感想・評価

ラ・ポワント・クールト1955年製作の映画)

La Pointe-Courte

上映日:2019年12月21日

製作国:

上映時間:80分

ジャンル:

3.7

あらすじ

「ラ・ポワント・クールト」に投稿された感想・評価

ナンセンス系じゃなくてうれしかった。
後味すっきり!
水上槍試合が効いてるね。
otomisan

otomisanの感想・評価

4.2
 犬も食わないすきま風夫婦の、海だからこうなったという感じ。なぜでしょうな?ちゃんと二人一緒で汽車で帰っていくわけで。
 4年目の危機なんて云うけれど、すこし愛して、ながーく愛して的に話を納めてアニエスが専ら何を撮ってるかというと名産ムール貝のヤバ気な話、近所のお盛んな女性と足元のクロの7度目の妊娠、赤の他人ラファエルの収監とお祭りのデートだったりするわけで、二人連れだってダンスに向かう脇をながーく愛す期に迎えられたパリっ子がお祭り騒ぎの中を低血圧気に通過してゆくのが可笑しい。
 ラファエルたちが連れ合いになっても彼の二人のようなすき間っ風を感じてる余裕があるだろうか?彼らの親たち世代が向き合う衛生局と健康被害の懸念、禁漁令の懸念に子だくさん、海に素直に向き合っていても彼らの暮らしの背景に広がる工業化の影が何の謂れか昨日までの暮らしを脅かす。
 この映画が名作とされるのは専らアニエスが誰かの「ばあちゃん」と誤伝されるがゆえだろうが、ヌーベルバーグのなんのとつまらない話だ。
 パリからの二人が回生するこの海辺がもう当たり前の海辺の暮らしを営めない現代化の瀬戸際にある事、それを強いるのが工業化を促進する資本と政策で、自由フランスでは誰を衝き落とそうと勝った者が勝ち。ならば、夏の祭りの観光資源化で民宿経営はいかが、ニースもコート・ダジュールも稼いでますという次第だ。そして現にそのようにクールト岬もこののち変貌してゆく。
 パリの二人を介在させて、これから変わってゆく辺境の前日譚を気乗りもしないけどと惚けて見せたような感じの付き合い方のくせに猫も洗濯物も小舟も機関車さえもいい芝居をしてるように映している。重大転機を事も無げな様子で流し撮ってパリの二人の土産話にでもと供するようでいて、もう既にのどかな場所などどこにも無いと戻った二人には語らせるのかもしれない。
 しかしそうやっても、また二人はこの村に舞い戻り、村は多くの北部人をやがてはもっと多くの外国人のバカンスを満たすよう上辺も心も変えてゆくのだ。そんなあとになって古びたこの映画の埃を払うとき、ああ、ばあちゃんのあの映画と、白黒の海や身重の黒猫、海辺の人々と楽隊の喇叭の音色を懐かしむのだろう。

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 あとになって思い出したのが水谷豊の「青春の殺人者」だった。あれは経済成長に乗っかった田舎の一家が親殺しに向かうはなしで、成長に乗っけ損ねた貧乏でもよかった時分の何らかが淋しく思い返されてたっけが、この日仏のエライ違い方が、だからフランスは何なのよ、と云うつもりでもないのだが、何となく愚痴っぽくモヤモヤするのだ。「クールト」と同時代なら1957年、今井正監督の「米」だ。密漁を咎めだてる警察と向き合う母ちゃんとの相克が、同じく密漁で相棒を失った若者の姿が、なぜこうも生きにくいのかと無性に腹の立つ調子で描かれる。これまた日本であって、あちらがフランスでクールト岬であってという事には違いないが、日本の銀幕上で死んでいった者たちに所詮別世界さと言いたい気になって来る。
紘

紘の感想・評価

3.5
一人は正面を向いてもう一人は横をむいて重なっているシーンがピカソの絵画みたいだった
よそ者と市井の人々。ヴァルダは初期のほうが無理して「映画」を撮ろうとしている。キャメラは動きすぎ、あざといカットも多々ある。愛でグダグダとつまらない言葉を並べてあえて物語から離れる感じ、あまりヴァルダっぽくない、創造が若く(幼く)気負ってる。あと海、水。海で始まって海で終わる(『アニエスによるヴァルダ』)表現者ヴァルダの人生。長編デビュー作で子供が死ぬ、激しいビンタ、村の祭り、猫。
ゴダール並に関係が冷めた夫婦が、海辺の村ポワント・クールトにやって来るお話と、ポワント・クールトに住む人達の日常のお話

これが『勝手にしやがれ』よりも前に撮られた作品だとは…凄くヌーヴェルヴァーグな作品じゃん……
関係が冷めている夫婦のパートでは「別れる!」「やだ別れない!」といかにもフランス映画っぽい場面が続くのですが、合間合間に挟まるポワント・クールトの日常のパートがあるおかげで独特な作品に仕上がっている。
「もう別れよう」って話をしている夫婦とは対称的に、「付き合おう!」と初々しい若者カップルが誕生しているのが印象的。

映像はゴダールっぽくもあればドキュメンタリーっぽくもある。
夫婦のパートの時はゴダールっぽい。ジャンプカットを多用したり、会話している時にエヴァ26話のような構図になったりと、変な構図の映像が続く。けれど日常パートではドキュメンタリーのように普通な映像になっている。手持ちカメラで登場人物を追ったり、会話をしている時もエヴァ26話のようにはならない。

船での槍突き大会が面白そうだったなぁ…地味だけど……
画の美しさにウットリ。写真家でもあったんですね、アニエス・ヴァルダ。

パリの小洒落た夫婦が、夫の故郷であるポワントクールトにやって来る。浮かない表情の妻と浅薄そうな夫がああでもない、こうでもないと実にフランス映画あるあるな会話を続ける。経験や感情が溶け込んだスープをとろ火でじっくり煮込んでいるような印象のふたり。

一方田舎町ポワントクールトでは、初々しいカップルが誕生。こちらはスープの材料を入れて強火で煮立たせ始めたばかりの印象のふたり。

特にパリの夫婦は浮世離れなオーラ全開なのに、周りの日常は現実をただただ見せてくるというギャップが凄い。

フィリップ・ノワレは歳とった方がいいですねぇ
愛が老いていく。

お互いを知り尽くしてしまった二人が、男の故郷である漁村で夫婦関係を見つめ直す。都会では夫婦だったのに、ここでは二人の人間。全てを知り尽くしていたはずなのに、初めて知った故郷での彼。
「苦痛以外は全て君と共有した」

この映画には何度も猫が登場するが、画面に映るのは毎回違う猫だ。黒猫は同じ猫のようにも見えるし、違うものにも見える。この世に全く同じ時間はどこにも存在しないのだ。
「私を熱烈に愛してる?」
「いや 熱烈ではない」
keichan

keichanの感想・評価

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風に揺れる洗濯物

横顔と正面の顔の2人を重ねる
音楽めっちゃ耳に残る
natsuko

natsukoの感想・評価

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元祖ヌーヴェルヴァーグ、そしてヌーヴェルヴァーグの祖母といわれたアニエスヴァルダの長編デビュー作だというのに作業をしながら流し見してしまった。すみません!
ドキュメンタリー的にも感じ、これがまさか処女作とは思えず、「映画を撮り続けたベテラン監督が少し落ち着いてちょっと方向性変えてきた一作」って思えるほどのこの完成度。

このレビューはネタバレを含みます

真の美意識は決して華やかでは無かった。

通の間で取り沙汰される映画史における文脈はわからないが、写真家である監督の、社会との向き合い方、そのストイックさだけはアホにも伝わる映画。

舞台は控えめに言って地味な漁村。
生活のため漁を営む人々と理不尽に取り締まる行政。社会のシステムと対比される生。
格好つけることも飾ることも無く描かれる姿が清々しい美しさを放つ。

その村を訪れる主人公とその恋人は不仲を癒す為の旅行なのか、なにやら真剣そうだが、どこまでいっても呑気な光景としか視聴者の目には映らない。映画における痴話など所詮は取るに足らないものと、意味深長な御託を並べる光景を平坦に写す監督の主眼は人間存在の根本を描くことに置かれているように感じた。

ラストに近い宴会のシーンは刹那的だが、答えに近づく何かを人との営みの中に見出すような意図を感じた。

総じて美しい、儚さと現実がカクテルになったフィルムノアール。
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